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「仕組債」は相対で取引されるため、実体の把握が困難
今回、ご縁があり寄稿のご依頼を頂いた。昨今はインターネットで検索すると弊社の本業であるデリバティブ・仕組債の様々な情報は確認できるものの、実際に取引を行っている立場からの記述は見受けられず、俯瞰的なデータを確認するのが難しい。デリバティブ・仕組債市場にほぼ四半世紀に渡り携わっている経験とmtn-i社の公募(売出)債データ等も活用しながら考察して参りたい。
まずは、仕組債の歴史を振り返りたい。仕組債は主にデリバティブ内包の債券と言えるが、デリバティブは金融派生商品と訳され、先物・スワップ・オプションに代表される。
起源は古く、紀元前600年ごろの天才ターレスが翌年のオリーブの豊作を予想し、搾り機を借りる権利をあらかじめ購入したことに始まる。予想通り豊作となりレンタル需要が旺盛となったため、ターレスは借りる権利を転売して利益を得た。これがオプション取引の起源と言われている。また、世界最初の先物市場は、江戸時代の大阪・堂島米会所で、世界最初のスワップ取引は世界銀行とIBMが1981年に行ったということになっている。
我が国で金融商品として積極的に利用され始めたのは1990年ごろと考えて差し支えない。また、デリバティブ・仕組債に関しては、当初は金融機関・機関投資家向けに利用され、事業法人や個人向けにチャネルを発展させていった。
国内で販売される仕組債は、通常海外で発行されている。個人向けの海外で発行された仕組債は、公募・売出債(固定利付等のデリバティブを伴わないプレーンバニラ債、以降“バニラ債”、を含む)では公に届出がされているため情報の入手は可能だが、多くの取引が私募・私売出・相対で行われるため、全体の数字を把握するのが難しい分野でもある。
まずは、日本の個人向けの仕組債を中心とした公募・売出債市場を俯瞰することで理解を深めることを本稿の目的としたい。