パテックフィリップ、ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマピゲ……高級腕時計界の「御三家」とされるこれらのブランド。なかでも人気のモデルとなると、中古にもかかわらず1,000万円を超える価格で取引されるそうです。コレクター垂涎の人気モデルに起きている昨今の「異常」ともいえる値動きについて、腕時計投資家の斉藤由貴生氏が詳しく解説します。

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御三家ブランドの「ラグスポ」に注がれる熱い視線

「スターモデル」はノーチラス、ロイヤルオーク、オーヴァーシーズ

かつて「流行りのブランド」に対する注目度が高かったとき、腕時計ファンのコレクションケースには、ロレックスの人気モデルと、流行しているブランドのモデルが並んでいたことでしょう。

 

腕時計の注目度が『普遍的なロレックス&流行りのブランド』という構図だったからです。その頃まで、値上がりでロレックスのスポーツ系に対抗できるモデルは、ほぼありませんでした。

 

もちろん、パテックフィリップのアクアノートなどは値上がりしており、2002年当時に60万円台で購入可能だった中古品が、2005年には110万円以上の水準になっています。

 

とはいえ、そういった変動はロレックスと比べると地味ともいえました。

 

ロレックスのスポーツモデルの場合、数ヶ月単位で相場が変わることもあり、それと同じぐらいの動き方、という意味では「ロレックススポーツ系に対抗できるモデルはほぼなかった」のです。

 

しかし、そういった傾向が、徐々に変わっていきました。ロレックス並の値動きとなった筆頭格が、ノーチラスやロイヤルオークといった、雲上ブランドのスポーツモデルです。

 

今では、こういったモデルは「ラグスポ」(ラグジュアリー&スポーツの略)と呼ばれることが多くなっていますが、こういった愛称が誕生していることからも、注目度の高さがわかります。

 

では、これらモデルがいつから、ものすごい値上がりをするようになったのかというと、ノーチラスが2017年、ロイヤルオークが2018年、オーヴァーシーズが2021年です。

 

なぜ、はっきり年を言えるかというと、それぞれの年から、中古相場の値動きが明らかに激しくなったからです。

パテックフィリップ「ノーチラス」衝撃の値動き

パテックフィリップのノーチラスは、2017年より前から値上がりの傾向はあったものの、人気ロレックスとくらべると「ゆっくり動く」傾向でした。

 

それが、2017年以降は、「数ヶ月で数十万円」の単位で値動きを繰り返すようになり、2018年頃の段階では、デイトナ並のポジションとなっていたように思います。

 

ロレックスのデイトナは、「最も憧れられる高級腕時計」というポジションを20年以上にわたって守っていましたが、ノーチラスはそれを覆すほどのすごい人気になりました。

 

その結果、高校生でもちょっとませた子なら、ノーチラスが高い腕時計の名前だとわかるほどになりました。かつてでは考えられなかった現象が起きたといえるでしょう。

 

[図表1]ノーチラス2017年~2021年の値動き
[図表1]ノーチラス2017年~2021年の値動き

 

私は2002年にノーチラスのジャンボサイズを90万円程度で購入しています。当時はほとんど知られていない時計でしたが、今ではそれが中古1000万円以上になっています。

 

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※本連載は、斉藤由貴生氏の書籍『データでわかる腕時計投資の正解』(イカロス出版)から一部を抜粋し、再編集したものです。

データでわかる 腕時計投資の正解

データでわかる 腕時計投資の正解

斉藤 由貴生

イカロス出版

高級腕時計を購入し、身につけて楽しみ、さらに買った値段より高く売って利益を得る腕時計投資は、売り時・買い時の見極めが重要。腕時計投資歴20年以上、日本ではじめての「腕時計投資家」である著者・斉藤は、腕時計の型番ご…

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