前回は、外壁の継ぎ目の「ひび」を取り上げました。今回は、カビの発生を防ぐための「外壁」周りのチェックポイントを見ていきます。

カビの発生を防ぐ外壁と水切りの間の隙間

ポイント② 外壁と水切りの隙間は開いているか

 

外壁の下部と水切りとの間は、隙間を作るように決められています。この箇所は、外壁の内側に防水シートが貼られている構造になっています。

 

これは、万が一、外壁の内側に水が入り込んでも、防水シートを伝って下から水が流れ落ちることで、さらに内側へと水が浸入しないように防ぐためです。

 

しかし、この隙間がとられていないケースがよくあります。これでは、壁内の通気が悪くなるだけでなく、壁内部に入り込んだ水の逃げ場がありません。壁内部に水が浸み込むと、カビの原因になります。

 

カビの発生は、家を傷めてしまうだけでなく、住んでいる人のアレルギー症状を引き起こすこともありますし、良い点は何もありません。

 

家の造りは、すべて理由があって決められていることばかりです。これらを見落としたまま工事が行われてしまうと、家の寿命を縮めてしまうことになりかねません。もし、この状態であれば、速やかに売主に是正するよう依頼する必要があります。

 

[図表1]外壁と水切りの隙間

外壁の内部は必ず「建築中」にチェック

また、防水シートを貼る場合は、端を100ミリメートルずつ重ねるように決められています。防水シート本体にも、目安として100ミリメートルの線が印刷されていて、わかりやすくなっているほどです。

 

しかし時折見られるのが、この防水シートの重なり不足です。理由はいくつか考えられます。雑な仕事をする職人が、きちんと必要分を重ねなかったのかもしれません。

 

あるいは、重ねる分を少なくすれば貼るシートの量を少なく抑えられますから、少しでもコストダウンをしようと、あえて行われているのかもしれません。重なり不足によって、防水シートの内部にまで水が入り込んでしまう可能性が出てきます。

 

先ほども説明しましたが、それによってカビが発生することは、家の寿命を考える面からも、健康面からも避けたいところです。外壁の内部のチェックは、建築途中でなければできません。もし、気になっている物件がある場合は、外壁の釘打ちをするよりも前の段階で確認するようにしてください。

 

[図表2]防水シートの重なり

本連載は、2015年6月25日刊行の書籍『こんな建売住宅は買うな』から抜粋したものです。その後の法律・条例改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

こんな建売住宅は買うな

こんな建売住宅は買うな

田中 勲

幻冬舎メディアコンサルティング

注文住宅と比べて安く購入できる建売住宅は、特に地価の高い都心近郊で人気がありますが、実は流通している住宅の大部分が目に見えない欠陥・不具合を抱えているのが実情です。 実際に、断熱材のズレ・不足や、準防火地域にお…

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