前回は、「階段の施工」のチェックポイントについて説明しました。今回は、雨漏り、結露など、新築住宅にも関わらず「水分」が入りやすい箇所のチェックと対策法について見ていきます。

「天井付近の壁」「窓サッシ周辺」のシミをチェック

ポイント⑯ 天井のシミは雨漏りを疑え

 

中古住宅に限らず新築分譲住宅を検討する際も、天井付近の壁にシミがないかを丹念に見てください。天井裏を見ることはできませんが、壁の上のほうをチェックすることで状況は把握できます。

 

または、窓のサッシ周辺の木枠にシミがある場合もあります。必ずしも雨漏りが原因ではなく、結露の可能性もありますが、壁紙の表にまでシミがある場合は、内側に水分が含まれていることが多くあります。

 

私が行っている建物診断では、赤外線サーモグラフィーを使って内壁表面の温度変化を測定します。一般的な木造住宅の場合、ビニールクロス仕上げですから、壁内に水分が入り込んでも、表面上は見た目の変化が起きません。しかし、壁の中に水分が存在し続けることによって、建物全体の劣化を招いてしまいます。

 

雨水の浸入ルート、雨水がとどまっている場所、室内への雨漏り箇所も、温度変化によって診断できます。中古物件の場合は、すでに結露による建物の劣化が起きていることもあります。特に、天井の明かり取りをする天窓の周辺は温度差が激しいため、結露が発生しやすい場所です。

「雨漏り」「湿気」を防ぐさまざまな対策とは?

一見しただけではわかりませんが、赤外線サーモグラフィーを使えば水分を多く含んでいる箇所を特定できます。少量の雨漏りの場合でも、そのまま放置するとカビの発生やクロスの剝がれにつながりますので、結露対策が必要になります。水気に強いクロスに貼り替える、木部の塗装をすることによって、防露になります。

 

また、結露が出やすい建物の場合は、日当たりの悪さが理由のひとつですから、風通しをできるだけよくすることも必要になります。その場合、24時間換気システムを設置するケースが多いのですが、中古住宅であっても木造住宅であれば取り付けることは難しくありませんので、不動産会社、またはリフォーム業者に相談してみてください。

 

また、湿度をコントロールできる珪藻土や防湿効果のある機能性壁紙に替える方法もあります。湿度をコントロールして、カビが発生しないようにすることは、健康を守るうえでも大切なポイントです。

本連載は、2015年6月25日刊行の書籍『こんな建売住宅は買うな』から抜粋したものです。その後の法律・条例改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

こんな建売住宅は買うな

こんな建売住宅は買うな

田中 勲

幻冬舎メディアコンサルティング

注文住宅と比べて安く購入できる建売住宅は、特に地価の高い都心近郊で人気がありますが、実は流通している住宅の大部分が目に見えない欠陥・不具合を抱えているのが実情です。 実際に、断熱材のズレ・不足や、準防火地域にお…

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