(※写真はイメージです/PIXTA)

「キャリア年表」を作成すると、過去から現在に至る自分の歩みを俯瞰することができます。さらに仕事歴、学習歴、経験歴を棚卸しすると次のキャリアステップにつながるといいます。久恒啓一氏が著書『50歳からの人生戦略は「図」で考える』(プレジデント社)で効果的なキャリアの棚卸し方法を解説します。

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「キャリアレコード」過去の自分を客観的に検証

■「あらすじ」から「台本」へとブレークダウンする

 

前回(第18回)は、自分がこれまで歩んできた道のりを総括する「キャリア自分史」を作成するための第1歩、自分の歩みを年表形式でまとめる「キャリア年表」のつくり方とその意義を紹介しました。

 

自分のこれまでの「キャリア年表」を作成すると、過去から現在に至る自分の歩みを俯瞰することはできます。

 

しかし、自分の来し方を深く掘り起こすには、より具体的な描写が必要になります。

 

物語は一般的に、プロット(あらすじ)とスクリプト(台本)から成り立ちます。「キャリア年表」は、いわば自分史というドラマの「あらすじ」であり、主人公の喜怒哀楽の感情の動きや、細かなエピソードまで描写するには「台本」が必要です。

 

そこで作成するのが「キャリアレコード」です。

 

「キャリアレコード」は「キャリア年表」で設定した「時代/節目」ごとに作成します。そして、その「時代/節目」において経験した「出来事」「出会い」「きっかけ」などを可能な限り具体的に記入します。

 

「仕事歴」であれば、自分が参加したプロジェクト名とその内容、進行の過程のほか、出会ったキーパーソンまで書き込むと、当時の自分が何を感じ、どう判断し、どのような行動をとったのか、具体的な記憶を鮮明に検証することができます。

 

ここで重要なことが二つあります。

 

一つは、「成果」を書き出すことです。もう一つは、成果の基準を会社や部署に置くのではなく、あくまでも自分にとって、どのような点でプラスになったかを示すことです。

 

会社にとっては失敗と見なされても、自分にとっては失敗から学び、大きな収穫になったこともあるでしょう。あるいは逆に、会社にとっては成功に位置づけられても、自分としては納得できず、後悔だけが残ったケースもあるかもしれません。

 

過去の自分を振り返ると、「なぜ自分はあんなことをしたのだろう」と、われながら不思議に思うことがあります。

 

「キャリアレコード」はその疑問に自問自答することで、真の自分を掘り下げることができるのです。

 

図1は私の「キャリアレコード」の記入例です。参考にしてみてください。

 

【図1】キャリアレコード記入例 久恒啓一

 

■スランプの原因を客観的に判断できる

 

また、「あのときは仕事もプライベートも絶好調だったな」とか、逆に「あの時期は最悪だった」と、好不調の波も思い起こすことができます。

 

たとえば、スランプに陥ったスポーツ選手は、調子のよかったころのビデオを繰り返し見て、いまの自分との差を考えるといいます。同じように、キャリアレコードを作成すると、好調だった時代、不調だったころを、それぞれメタ認知(「もう一人の自分」から自分を見る)して、いまの自分と比べることができます。

 

新入社員のころと違って、いまは向上心も失せ、他人から学ぼうという姿勢も失ってしまっている人もいるでしょう。スランプの原因は、そんなところに隠れていることも、キャリアレコードは教えてくれるかもしれません。

 

自分史をつくることは、成長した自分を確認するだけでなく、失ったものも冷静に見つめて自省し、もう一度、意欲を取り戻すきっかけにもなるように思います。

 

次ページ「キャリアメモ」で過去の自分を総括する

※本連載は、久恒啓一氏の著書『50歳からの人生戦略は「図」で考える』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

50歳からの人生戦略は「図」で考える

50歳からの人生戦略は「図」で考える

久恒 啓一

プレジデント社

「人生鳥瞰図」で仕事も人生もうまくいく! 大人のためのキャリアデザインの教科書。 私は日本人の「アタマの革命(図解)」と「ココロの革命(遅咲きの人物伝)」の二つをライフワークとしている──。 こう語るのは、…

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