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不愉快になる「自分の存在がそんなに邪魔か」
■デイサービス、ショートステイへの抵抗感とは
自宅よりも設備の整った施設に行って受けるのが通所サービスです。要介護者用の機能を備えたクルマで送り迎えしてくれるため、足が不自由な人や車椅子の人も安心して利用することができます。
介護される人は、居宅にずっといると孤立感に襲われますし、気分的にも沈みこんでしまいます。外出し、いつもと違う環境に身を置けば気分がリフレッシュできる。大勢の人がいるところに入っていけば刺激になり、心身の回復のきっかけにもなるというわけです。
介護する人にとっても、大きなメリットがあります。仕事をもっている人は、利用者が通所サービスに行っているあいだは仕事に集中できるからです。介護に専念している人も、通所サービスのあいだは介護から解放され、息抜きもでき、ふたたび介護に向かう元気が取り戻せるのです。
通所サービスには、大きく分けて3つの種類があります。表に、その特徴を示しました。
ここまでは通所サービスをポジティブに紹介してきましたが、じつは利用者には通所サービスに拒否感を示す人がけっこういて、介護する人とのあいだで、行くかどうかをめぐってもめることがよくあるのです。
なぜなら、利用者にとっては、このサービスが自分のために必要だから「行く」のではなく、介護者である娘や息子の都合で「行かされる」ことだからです。
介護者が説得するときは、良いことをたくさん並べます。「デイサービスに行けば、お風呂に入ってスッキリできるし、大勢のなかでお昼も食べられる。ウチにいるより楽しいと思うよ」などと。しかし、気持ちは動きません。通所サービスを利用するのは、娘や息子が自分の仕事を優先しているから、あるいは息抜きをしたいからということがわかるからです。
施設入所を説得されるときの「見捨てられる感」ほどではないにせよ、自分がないがしろにされているようで不愉快なのです。
また、男性の利用者には、知らない人たちのなかに放りこまれること、しかも全員が要介護の高齢者で、その人たちと同列に扱われることに拒絶感をもつ人が多いそうです。自分も要介護であることを差しおいて、プライドが傷つけられるわけです。
その点、女性利用者は順応性がある人が多く、最初は嫌がっていても我慢して行ってみると「意外に楽しかった」という反応が多いのだとか。すぐに友達をつくり、その人と話をするのが楽しみで通所サービスが大好きになる人も多いそうです。