(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資を始めてみたいと考えているサラリーマンの人は少なくないでしょう。しかし、普通の買い方では融資上限に引っ掛かってしまい、サラリーマンの収入を超えることは困難です。さらに言えば、金融機関が次も貸したいと思える買い方を知っていないと次の融資は出ません。融資上限を気にすることなく物件を買い進めていくには、どうすればよいのか。ここではポートフォリオの組み方について解説します。

「売ろうと思ったときに売れる場所」を選ぶのも重要

また、物件選びのもう一つ大事なところとして、「売ろうと思ったときに売れる場所」を選ぶのも重要です。これは不測の事態が発生した際に、緊急離脱ができるかどうか、つまるところリスク回避ができるかどうかに大きく関わってきます。

 

2021年現在の市況はとても参考になるところもあり、現在の市況でも融資が出て物件を買えるということは、裏を返せば「自分と同じ属性の人なら、さらに劇的に融資状況が悪くならない限り買える」ということです。

 

あとは年収帯による絶対数の問題による確率にはなりますが、たとえば当社所有物件をご紹介する場合は金融機関2行以上が融資可能な物件、あるいは戸建て分譲用の土地として出口が見える物件のみを紹介しています。

 

一方、超高利回り物件でも市街化調整区域だと、仮に物件が倒壊したりして建物の価値がなくなった場合、土地そのものの価値が出ないので非常に困ったことになります。再建築不可の場合も同様です。借地権の場合も似たようなものです。

 

つぶしが利きにくいというのはやはり相当不利な要素で、買い手がつくのかどうかまったく分からない、あるいは再活用がほぼ不可能な物件は、よほど特別な要素があって勝ち目がある場合以外は避けたほうが無難でしょう。仮に建物が燃えたとして、それで土地の価値も0円では目も当てられません。

 

そんなことあり得ないと思っていることでも、あり得てしまうのが実際に事業をはじめるということですので、基本的には損切可能な、きちんとまともに接道している、土地として再利用価値がある市街化区域の物件を選ぶのが一番です。さらに、2行以上の金融機関が融資可能であれば片方のルールが変わってもヘッジが利くので、なお良いです。

 

■「駅近かどうか」はそれほど重要ではない

そしてここでポイントは、実は駅徒歩はそんなに重要なパラメータではないということです。

 

もちろん賃貸需要は駅に近いほど高い傾向はありますが、今は収入の二極化が進んでいるので、「遠くてもいいから、安くてきれいで、できれば広めな部屋に住みたい」というニーズが底堅くあり、中古築古アパートを活用した投資の活路はそこにあります。修繕リスクは駅徒歩1分だろうが20分だろうが、変わりません。入退去も絶対に発生します。

 

むしろ、駅から徒歩で近い物件を選ぶのは単身赴任での一時暮らしや、家賃と自分の経済力がバランスしていないちょっと無理してしまっている層も多く含まれるので、今回のように世相が悪くなったりすると急に賃料が払えなくなったりします。土地も狭いという特性から単身物件も多く、どうしても入退去が発生します。そういう意味では負のリスク量は一緒です。

 

そして、駅から徒歩で多少遠かろうが将来的に宅地として戸建が建てられるなら、路線価より少しマイナスまで価格を下げればデベロッパーや建売業者が買ってくれます。

 

当社近くのエリアだと、例えば神奈川県綾瀬市などは一つも駅がない自治体ですが、運送拠点や倉庫などたくさん勤め先があることから、戸建を建てたい需要も賃貸需要も底堅くあり、実需用として土地の流通性もそれなりにあります。そして、路線価も周辺自治体と比べて決して安いわけではありません。担保価値も十分出し得る土地が多いです。つまるところ、素人目線から良いと思える物件と、金融機関などのプロが評価する物件は別物だということです。思い込みにとらわれず、何が重要な指標なのか頭に入れておくと、物件の選び方が変わってくると思います。

 

「売ってもいい、もっていてもいい」の理想形は、超高利回りかつ、首都圏であれば国道16号線の内側で流動性のある再建築可能な物件ですが、そんな物件はなかなか見つかりません。なので、利回りは普通の物件でも、売買金額と比べて土地の評価額が十分に出ること、ここを意識すると本当の意味で資産性の高いポートフォリオが組めるかと思います。

 

 

穴澤 勇人

コスモバンク株式会社 代表取締役

 

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※本連載は、穴澤勇人氏の著書『融資上限は怖くない!税制と収益不動産をフル活用した資産形成』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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穴澤 勇人

幻冬舎メディアコンサルティング

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