昨年は予想外のインフレで利上げに転換
■メキシコの金融市場にとって、2021年はインフレと利上げの年となりました。メキシコ銀行(中央銀行、中銀)は2月には景気への配慮から利下げを実施しましたが、年央以降はインフレの大幅な上振れから金融引き締めに転じ、政策金利は年央の4%から年末には5.5%まで引き上げられました。
通貨ペソは底堅く推移するも頭の重い展開
■2021年の通貨ペソは、一昨年3月の急落前の水準を目指して戻りを試したものの、頭の重い展開となりました。順調な景気回復や度重なる利上げを受けた短期金利の上昇が下値を支えましたが、米国での大規模金融緩和の縮小や、一部新興国からの資本逃避の動きに加え、新中銀総裁人事をめぐる市場の疑心暗鬼などもあり、年後半は頭の重い展開となりました。
新中銀総裁の動向に注意
■予想外の高止まりが続く物価上昇への警戒感から、2022年も中銀による利上げが続きそうです。政策金利は今後更に1.5%引き上げられ、今年の年末には7%まで上昇するものと予想しています。
■通貨ペソは中銀による更なる利上げや景気回復から、引き続き対米ドルでコロナ禍前の水準(1米ドル=19ペソ)を目指す底堅い展開となるものと思われます。
■ただし、昨年末に就任したビクトリア・ロドリゲス新中銀総裁の政策運営には注意が必要です。新総裁の政策手腕はいまだ未知数ですが、就任の経緯などもあり中銀の独立性への疑念が生じるようなことがあれば、メキシコの金融市場全体が動揺する可能性があり注意が必要です。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『メキシコ金融市場 2021年の回顧と2022年の展望』を参照)。
(2022年1月6日)
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