多くの業界で利益率は圧迫される
2021年の企業収益は力強い伸びを示しました。 記録的な金融・財政刺激策は、2020年末に新型コロナウイルスのワクチンが承認された後の企業活動の急速な回復を支えました。たとえば、S&P500指数の構成企業の2021年の1株あたり利益は225ドル、対前年比で65%の増加が見込まれています。
2021年の企業利益が非常に好調であったことから、2022年には大きな困難が待ち受けている可能性が高いといえます。米国企業の利益率はすでに過去最高水準に戻っていますが、投入コスト上昇の影響はまだ十分に反映されていません。
労働市場のひっ迫により、さまざまな業種で能力の高い労働者の獲得競争が激化するなか、特にサービス部門では、利益率に下押し圧力がかかると予想されます。これらのことから、収益性を確保するための環境はより厳しいものになると考えられます。
企業にとって今後1~2年は価格決定力がカギ
こうした背景から、株式市場はバリュエーションが拡大しているため(特に米国株式市場)、2022年はリスクへの警戒が必要です。強気相場は年が経てば終わるわけではないという古い格言は、現在は確かに当てはまっているようです。
企業がコスト上昇分を消費者に対する製品・サービス価格に転嫁することで、今後1年間を乗り切ることも考えられます。家計はおおむね健全であり、賃金が上昇していることから、5%程度の消費財の価格上昇は許容できる可能性があります。
しかし、多くの企業、特に製品の差別化がほとんど、もしくは全くされていない業種では、コスト上昇分を転嫁するのは難しいと予想されます。
現在、穀物、砂糖、鉄鋼、銅などのコモディティの価格が高騰していることから、生活必需品や資本財セクターは、投入コスト上昇に対して最も脆弱であると考えられます。また、こうした業種は一般に競争が激しい傾向にあります。
ただし、例外もあることには注目すべきです。ネスレは、世界のコーヒー市場に持つ強力な営業販売権を背景に、2021年7~9月期に製品価格を前年比4%以上引き上げました。一方、ユニリーバやP&Gなどは、値上げに苦戦しています。
強い価格決定力を持つ企業は、テクノロジー分野、特に、いわゆるメガキャップと呼ばれるプラットフォームに見られます。マイクロソフトやアドビなど、企業や政府、一般家庭に不可欠なツールを提供するソフトウェア企業は、毎年利用料を引き上げられるという、独自の地位を確立しています。
デジタル広告市場は、あらゆる規模の広告主にとっての主要なチャネルになりつつありますが、同様に、グーグルの親会社アルファベットを筆頭に、一握りの大規模なインターネット・プラットフォームが、デジタル広告市場シェアの大半を占めています。強気の価格設定に支えられ、グーグルは2021年9月までの9か月間の売上高が前年比45%増となりました。
他の多くのソフトウェア、インターネットおよび半導体企業も、コスト増を抑えつつ、定期的に製品・サービス価格の引き上げを行うことができます。これらの分野は、2022年も引き続き成長分野となると予想しています。
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