今後は計り知れない投資機会が見込まれる
差し迫った課題から離れてみると、今後10年以上にわたり株式市場に重大な影響をあたえる可能性のある多くの構造的な原動力が存在します。
「メガトレンド」とも呼ばれるこれらのトレンドのほとんどは、目新しいものではありません。 気候変動、エネルギー転換、人口動態の変化、ヘルスケア分野のイノベーション、デジタル化、 自動化および都市化などは、何年も前から重要な課題でした。
しかし人口の増加にともない、その重要性は飛躍的に高まっています。一部の領域では、新型コロナウイルス感染拡大の影響がメガトレンドの変化を加速しています。
世界的規模で迅速に対処すべき大きな課題がありますが、対処できると考える理由は数多くあります。 新型コロナウイルスの出現からわずか9ヵ月後に画期的なワクチンが開発されたことでも明らかなように、私たちはイノベーションの黄金時代に生きています。
処理能力、接続性、帯域幅、メモリから電力供給、ソフトウェアに至るまで、多くのテクノロジーの融合の結果、さまざまな産業にイノベーションの波が押し寄せています。そのほとんどは数年前にはありえなかったことです。
DNA配列の技術がなければ、新型コロナウイルスのワクチンは開発されませんでした。同様に、エネルギー転換についても、バッテリー容量、再生可能エネルギーの発電能力、グリッド技術などが驚異的に進歩したからこそ、可能になりました。 世界的な変革のプロセスが進行中であり、長期にわたり広く普及しています。
投資の観点では、計り知れない投資機会が見込まれます。 メガトレンドの影響を正しく捉えれば、その分野で活躍する企業に投資することで、伝統的な株価指数を大きく上回るリターンが期待できると考えています。
最後に:エンゲージメントが重要
「会話しない人は、何も知らない」という古い英語のことわざは、まさに投資に当てはまります。 しかし、投資家と投資先の経営陣が対話をしていないことは、驚くほど多くあります。
従来、株式投資家は、主に委任状による議決権行使を選択してきました。投資家は投資先企業の経営陣を後押しする投票をしてきましたし、今後もそれは続くと予想されます。
しかし、複雑で急速に変化する世界では、資本の提供者と投資先との間で定期的かつ建設的な対話をすることが不可欠であると思われます。経営陣は、サステナビリティや社会福祉といった特定の問題の重要性を、投資家の視点から理解していない場合があります。
同様に、前述したような課題に対処するために、企業がどれ程ビジネスモデルの進化に取り組んでいるか、投資家が理解していない可能性もあります。投資は、株式を購入して終わるものではありません。 積極的な関与、つまりエンゲージメントが必要なのです。
福澤 基哉
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
執行役員/プロダクト統括
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