本記事は、シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社の『マーケット情報』を転載したものです。

【関連記事】2031年は日経平均10万円…日本の先行きを「楽観」できるワケ

サプライチェーン回復も…エネルギー価格は上昇見込み

【本記事のポイント】

 

・サプライチェーンの混乱の影響は大きいものの、2022年中の回復が見込まれます。
・インフレは多くの業種で依然として重大なリスクであり、投入コストの上昇、特にエネルギーコストの上昇は、すでに消費者価格や賃金に反映されています。
・企業は利益率が圧迫される可能性が高いため、価格設定力が重要になります。

 

2021年に見られたサプライチェーンの大きな混乱は、新型コロナウイルスの影響による生産停止と輸送の遅れが主な要因であり、2022年に向けて回復に向かうと予想されます。

 

歴史的にみると、サプライチェーンが混乱した後は需要増にともない在庫積み増しが行われるため、非常に迅速に調整される傾向にあります。2022年に過去の例が当てはまらないと考える理由はなく、実際に貨物輸送費はすでに下落し始めています。

 

[図表]世界の海運指数は供給圧力の緩和を示唆
[図表]世界の海運指数は供給圧力の緩和を示唆

 

しかしながら、エネルギー価格は多くの理由により引き続き上昇すると見込まれます。景気回復にともない石油やガスの需要が高まっている一方で、供給量の増加は止まっています。 政府がエネルギー企業に対して再生可能エネルギーへの投資を奨励してきたため、従来型の探査と生産への投資は削減されています。

 

投資を減らした結果、供給面での制約が出ているだけでなく、多くの場合、温室効果ガス排出削減目標を達成するために供給は急速に縮小に向かっています。 このため、従来型のエネルギー価格は、当面高止まりするものと思われます。

 

将来、地中の石油やガスの価値が現在の推定価値の何分の一かになることに疑いの余地はないものの、当面従来型エネルギーは良好な水準のキャッシュフローと収益を生み出す可能性があります。ただしこれは、コンセンサスの見方であるとは考えていません。

インフレ懸念は継続

インフレが「一過性」のものでないことが証明されるとみていましたが、どうやらその通りになりそうな兆しが出ていると思われます。

 

10月の米国生産者物価の上昇率は8.6%と衝撃的に高い数字であり、エネルギーやコモディティの価格上昇から労働コストの急激な上昇まで、あらゆる分野での価格上昇を反映しているといえます。

 

労働コストの急上昇は、多くのエコノミストを驚かせました。米国と欧州の労働力のうち、かなりの割合がまだ仕事に戻っていません。その結果、労働力不足が賃金上昇圧力となり、米国の平均時給は5%上昇していますが、燃料費、住宅費の高騰に対応して労働者からの要求水準が拡大することによって、さらに上昇率が加速する傾向にあります。

 

全体として、供給不足に若干の緩和が見られるものの、価格上昇圧力は大きく、10月の消費者物価上昇率が6.2%と1982年以来の高水準となったことは驚きではありませんでした。 特に、世界の主要地域において景気回復の勢いが強いことを考慮すると、今後価格圧力の方向性が急に変化するとは思われません。

 

注目のセミナー情報

​​【減価償却】11月20日(水)開催
<今年の節税対策にも!>
経営者なら知っておきたい
今が旬の「暗号資産のマイニング」活用術

 

【国内不動産】11月20日(水)開催
高所得ビジネスマンのための「本気の節税スキーム」
百戦錬磨のプロが教える
実情に合わせたフレキシブルな節税術

次ページ多くの業界で利益率は圧迫される

【ご留意事項】
・本資料は、情報提供を目的としてシュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が作成した資料であり、いかなる有価証券の売買の申込み、その他勧誘を意図するものではありません。
・本資料に示されている運用実績、データ等は過去のものであり、将来の投資成果等を示唆あるいは保証するものではありません。投資資産および投資によりもたらされる収益の価値は上方にも下方にも変動し、投資元本を毀損する場合があります。また外貨建て資産の場合は、為替レートの変動により投資価値が変動します。
・予測値は将来の傾向を例示することを目的とするものであり、その実現を示唆あるいは保証するものではりません。実際には予測値と異なる結果になる場合があります。シュローダーは予測値、前提となる仮定、経済および市場状況の変化、予測モデルその他に関する変更や更新について情報提供を行う義務を有しません。
・本資料中に含まれる第三者機関提供のデータは、データ提供者の同意なく再製、抽出、あるいは使用することが禁じられている場合があります。第三者機関提供データはいかなる保証も提供いたしません。第三者提供データに関して、本資料の作成者あるいは提供者はいかなる責任を負うものではありません。
・本資料中に記載されたシュローダーの見解は、策定時点で知りうる範囲内の妥当な前提に基づく所見や展望を示すものであり、将来の動向や予測の実現を保証するものではありません。市場環境やその他の状況等によって将来予告なく変更する場合があります。
・本資料は、作成時点において弊社が信頼できると判断した情報に基づいて作成されておりますが、内容の正確性あるいは完全性については、これを保証するものではありません。
・本資料を弊社の許諾なく複製、転用、配布することを禁じます。シュローダー/Schrodersとは、シュローダーplcおよびシュローダー・グループに属する同社の子会社および関連会社等を意味します。
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社 
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第90号
加入協会/一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人投資信託協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧