「幼い頃から入寮させるなんて」という風潮もあるが…
2022年にスキーリゾートとしても名高い岩手県安比高原に開校するハロウ安比校を例に見てみましょう。母体となるロンドンのハロウスクールは450年の伝統をもち、元英国首相のウィンストン・チャーチル氏や、インド初の首相ジャワハルラール・ネルー氏、ノーベル賞受賞者や起業家など、世界に名だたるグローバルリーダーを輩出しています。押しも押されぬ名門ブランドが、日本のインターナショナルスクールの常識を覆す全寮制学校をオープンしたのです。
世界各地のハロウインターナショナルで陣頭指揮を執ってきた校長のファーリー氏に、なぜあえて日本で全寮制なのか、そして巨額を投じてそこで学んだ子どもたちにはどのような将来が待っているのかを率直に伺いました。
■リーダーに求められる「すべての要素」をアウトソーシングで完成
「ロンドンのハロウスクールと同様に、ハロウ安比校も全寮制にこだわりました。教員やスタッフも含めて、全員が学校に住んでいる、これは非常に貴重で価値のある状況です。教員、スタッフ、ハウスマスター(寮長)そして私が、全生徒の性格や特徴を把握します。その上でキャラクターにフィットした最高のプログラムを組むのです。
ロンドンのハロウスクールを筆頭に、7つのハロウインターナショナルスクールは、オックスフォード、ケンブリッジ、そしてアメリカのアイビーリーグ大学など、世界中の名門大学への進学実績を誇ります。だからといって入学の時点での英語力や学力のハードルを上げているわけではありません。さまざまな個性と才能を受け入れていて、成績だけをみて優秀な生徒を入れることはしません。個人のポテンシャルを最大限に引き出すことで、各自の最高の結果を引き出す。このような長期的・包括的な視点で教育できるのが全寮制の利点です。
自分のお子様がどんな分野で才能を発揮するのか、どうしたらそれを見つけられるのかに悩んだことはありませんか? それが全寮制のハロウでは可能なのです。安比高原という日本の美しい大自然とハロウの教育が融合することによって、都会では提供できない次世代のグローバルリーダーを育成します。
進路について、たとえばハロウ安比校では最終学年に集中した進路指導と対策があります。数年にわたる完全なチームワークの中で培った個別指導、まさに全寮制の本領発揮です。A-levelと呼ばれる共通テスト対策では3教科に加え専門科目を話し合って絞り、志望校に応じて指導します。ハロウには各名門大学に進学するためのノウハウが蓄積されていますから、生徒は世界中の大学を選択肢に持ち、日本も含めて名門大学に進学しています」(ファーリー氏)
日本では、子どもを幼い頃から寮に入れることに抵抗を感じる風潮もあります。しかし全寮制のメリットが存在することは間違いなさそうです。小学校・中学校受験をする家庭では、保護者は子どもの習い事や塾の送迎に忙殺され、まるでマネージャーのようだという声もあるほど。これほどの「エリート必修科目」「リーダーに求められる教養・人間性」を総合的に、語弊を恐れずに言えば「プロ中のプロにアウトソーシング」できるとすれば、それは保護者だけで養育するよりも効果的であるとも言えるでしょう。
たとえばハロウ安比校では中・長期休暇も年に5回ほどあるため、同じ日本国内である利点を生かして気軽に家族が現地を尋ね、余暇を過ごしたり、生徒が帰省したりすることも可能です。そのような形で1年の3分の1ほどは親子の時間を持ち、それ以外の時間は、平日は多忙であろう両親に代わって全人的な教育を担ってくれる学校の存在はとても心強いはずです。