(※写真はイメージです/PIXTA)

年々、日本国内における「グローバル教育」の人気は高まる一方です。インターナショナルスクールや「国際」を謳う小中学校に志願者が殺到し、倍率が急上昇。需要に供給が追い付かず、国内のグローバル教育機関は「狭き門」と化しています。そんな状況を尻目に、富裕層の中には、自国の名門校ではなく、あえて「海外の名門全寮制校」を選ぶ保護者も少なくありません。外部からは伺い知れない、超富裕層向けのグローバル教育の実態とは? ※本記事では、受験・教育事情をテーマに小説とコラムを執筆する佐野倫子氏が、バイリンガルエリート教育の最前線をレポートします。

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人気上昇中だが…日本国内の「グローバル教育」の現状

この10年で、日本ではグローバル教育がいっそうの注目を集めてきました。都心では需要と供給のバランスが崩れはじめ、中学・高校受験では「国際」を謳った学校に、幼少教育ではインターナショナルスクールに志願者が殺到、倍率は急上昇中です。

 

しかし、それをもって日本に国際教育の土壌ができたとするのは早計でしょう。グローバル教育機関が提供するのは、単に英語力だけではありません。日本はこれまで国際教育という観点ではシンガポールや香港、中国の後塵を拝してきました。アジアの富裕層がグローバル教育を受けるとなれば上記の国が定番。日本の熱心な家庭は、過熱する小学校・中学校受験を経て、タイミングを見て大学時代に短期留学というのが潮流でした。

 

その結果として、日本からダイレクトにオックスブリッジやアイビーリーグの大学に進学するという成功例はまだまだ「数少ない武勇伝」。実際にそれらの大学に進学を志す場合は早くから海外に出て、国際的なしかるべき教育機関で学んでいるのが実情です。

 

しばしば、国際ビジネスの現場において日本人のコミュニケーション力やレジリエンスはいまひとつ、と揶揄されることがあります。それは日本人のシャイで謙遜する国民性がゆえだと批判を甘んじて受け止めてきました。そして意識の高い保護者は世界に通用するスキルを獲得するために幼少期から留学させるなどの「飛び道具」を使ってきたのです。

 

果たしてこの状況は「当然のこと」で、そのような評価は「正当」なのでしょうか?

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佐野 倫子

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