(※写真はイメージです/PIXTA)

2022~23年にかけて、世界に名だたる名門全寮制学校が日本で開校ラッシュとなるのをご存じでしょうか。 日本ではまだなじみの薄い「全寮制」というスタイルで、年間授業料はサラリーマンの平均年収を軽く上回ります。一体、どのような教育が行われるのでしょうか? 日本の小学校・中学校受験をテーマに小説・コラムを執筆する佐野倫子氏が、バイリンガルエリート教育の最前線をレポートします。

日本各地で「全寮制スクール」が開校ラッシュ

国際教育への関心は、年々高まっています。現在、東京都内のインターナショナルスクールは、年間数百万円の授業料をものともせず席取り合戦の様相なのをご存じでしょうか。

 

激変する社会のなか、子どもの将来を真剣に考える保護者のあいだで、生まれる前から学校説明会に参加する、幼少期からの海外留学やインターナショナルスクールを検討するといった動きがあります。

 

かつては慶應義塾大学幼稚舎、早稲田実業初等部などの超名門小学校を受験していた層に、インターナショナルスクールという選択肢が発生しているのです。

 

そしてコロナ禍を経て、教育熱心な保護者のあいだで話題を呼んでいるのが日本各地に続々とオープンする全寮制のインターナショナルスクール=ボーディングスクール。日本ではまだなじみの薄い全寮制ですが、果たしてどんな学校なのでしょうか?

「全寮制」は世界の貴族・富裕層に選ばれてきた教育法

ボーディングスクールは16世紀のイギリスが発祥とされ、ヨーロッパを中心に広がり、現在にいたるまで世界中の貴族・富裕層に選ばれてきました。イギリスの王子たちが燕尾服の制服に身を包んで学んだ1440年創立の超名門「イートン・カレッジ」や、世界一高額と言われる年間1200万円超の学費、個人ボディガードがついているような子どもたちが集うスイスの「ル・ロゼ」など、一度は聞いたことがあるかもしれません。

 

世界の貴族・富裕層に浸透しているボーディングスクールですが、実は日本にも存在し、近年注目を集めています。

 

広島叡智学園(広島県)、神石インターナショナルスクール(広島県)、ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン(長野県)は、それぞれが独自の特色を持ち、国際的な人材を輩出してきました。

 

そして注目すべきは2022年からの開校ラッシュ。英国最高峰の9つのパブリックスクール、通称「ザ・ナイン」であるハロウスクールがハロウインターナショナルスクール安比ジャパン(岩手県)を、ラグビースクールがラグビースクールジャパン(千葉県)をオープンします。また、白馬インターナショナルスクール(長野県)、国際高校(愛知県)も特色があり、要チェック。

 

たとえばハロウインターナショナルスクール安比ジャパン(以下、ハロウ安比校)では2021年に一期生募集を開始しましたが、サラリーマンの平均年収を軽く超える日本一の授業料、年間約900万円でありながら、世界中から志望者が殺到したというから驚きです。母体となるロンドンのハロウスクールは、その荘厳で歴史あるたたずまいから映画「ハリーポッター」のロケ地に選ばれたので、目にしたことがある方もいるでしょう。世界に名をととどろかせるハロウブランドが、治安のいい日本の高級リゾート地に進出とあって相乗効果を生んだ好例です。

 

なぜ今、それほどのお金を投じてまで、意識の高い人々にボーディングスクールが選ばれるのでしょうか? そこには何か、外からは伺い知れない秘密があるはずです。

次ページ 年間「数百万円」かけてまで、何を学ぶのか
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佐野 倫子

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