(写真はイメージです/PIXTA)

3人の息子をもつ父が「長男に全てを相続させる」と遺言書にのこしたら、次男と三男は不満に思うこと必至です。ここでは、相続トラブルを防止する工夫について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・天野清一氏が解説していきます。

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    「相続トラブル」はごくごく普通の家庭で起きている

    相続人同士、つまり最も親しいはずの親族同士が遺産を巡って揉めるようなことは、誰でも回避したいのではないでしょうか。しかし「争族」ともいわれる相続トラブル事例は、決して少なくはありません。

     

    「相続トラブルなんて、お金持ちの家だけの話でしょう」と考える方もいるかもしれません。

     

    しかし統計によると、相続人同士の話し合いが揉めて、裁判所に持ち込まれたケースの「7割」は遺産総額が5000万円以下でした。遺産には実家などの不動産が入っているケースが大半です。

     

    つまり、相続トラブルはごくごく普通の家庭で起きているのです。

     

    そこでここでは、遺言書で、できるだけ相続トラブルの芽を摘んでおける書き方についてお伝えしていきます。

     

    誰かにとって「納得がいかない遺産分割」が指示されると、遺産トラブルは発生しやすくなります。

     

    つまり、誰かに「不公平だ」と不満を持たせない書き方ができるかどうかで、相続トラブルになるか、それとも円滑な相続手続きに進めるかが決まります。

     

    では、どうしたら、そんなことが可能なのでしょうか?

     

    それは、「遺言書にエピソードを加えること」です。遺言書には、相続財産の分割に関する内容のほかに「付言事項」を書き残すことができます。

     

    ただし、付言事項には法的な効力はありません。それでも付言事項に、どうしてこのような割合で相続財産を分割したのかという考えや、相続人それぞれへの思いなどを、書くと書かないとでは大きな違いが生まれます。

     

    一見不公平に見える相続財産の分割方法の裏にある、亡くなった方の気持ちがわかるからです。

     

    例えばお父さんが、自分の遺言で3人の子、長男、次男、三男、に残す財産の分割方法を、次のように書いた場合はどうでしょう?

     

    「長男に全てを相続させる」

     

    これだけでは、次男と三男は不満を持つのも無理はありません。

     

    自分達は親に愛されていなかったのか?と疑うかもしれませんし、なぜ長男だけが全部の遺産をもらえるのかがわからず、長男に対して疑いの目をむけるかもしれません。

     

    こうなったら、円滑に相続手続きをすることは、かなり難しいでしょう。

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