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災害時のSNSからわかる「報道機関」と「自治体」の差
SNSの一番の特徴は、「情報が速いこと」である。報道機関は、SNSが持つその性質自体に大きな価値を見出している。
事件や事故の現場に居合わせた人が投稿するリアルタイム情報を追いかければ、警察や消防の情報を待たずともいち早く現場に駆けつけることができる。どこで何を取材すれば貴重な映像が撮れるのかが、即座にわかるのである。
報道現場で働く人々のインセンティブは、スクープをものにすることだ。誰よりも早く、誰も押さえていない、インパクトのある現場の様子を全国に報道することが、記者たちにとって最も価値の高いものとなっているのである。
一方、自治体の防災では、必ずしも情報の速さばかりが求められているわけではない。防災で最も重要なことは、現場の状況に合わせて「対応する」ことである。
自治体の防災対応は危機管理課や防災課といった部門が担当している。部門で対応できる人員は限られており、「地震で□地区に土砂崩れがあった」「大雨で△川が氾濫している」といった情報がいち早く送られてきたとしても、瞬時に対応に向かえるわけではないのだ。
防災担当者は、事前に災害対応のために、「何が起きたらどう動くのか」を計画立てて準備をしている。速報は知っていて損はないが、1分速く情報が届いたからといって、その地点に場当たり的に人を向かわせるわけにはいかない。
被害が最も集中しているところはどこなのか。状況から判断して、どのエリアに避難指示を出さなければならないのか。そういった判断を下し、限られたリソースを実際に動かすための災害情報が必要なのである。