【関連記事】要介護の夫を支える妻に「要支援認定」が…老々介護の対応策
要介護1~5:中重度者向けの24時間対応サービス
「訪問介護」に比べ、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、より重度の要介護者を対象としている点が大きな違いです。
日中・夜間を通じて、訪問介護と訪問看護が一体的にまたは密接に連携しながら、定期巡回と随時の対応を行うサービスです。定期巡回は、予め決められた時間に1日数回訪問し、随時対応は、事業所に電話するとオペレーターが対応し、巡回中もしくは待機中の訪問介護員を急行させるサービスです。要介護1~5の人が利用できます。
1つの事業所で訪問介護と訪問看護を一体的に提供する「一体型」と、訪問介護を行う事業者が地域の訪問看護事業所と連携して、サービスを提供する「連携型」があります。
元々、1人暮らしの要介護高齢者や高齢者のみの世帯で介護力に限界がある人の利用を見込んで、24時間365日対応の訪問介護として始まりました。その後、中重度の要介護者は、医療的管理を必要とする場合が多く、訪問介護と訪問看護を一体的に提供できるサービスとして、訪問看護が定期巡回・随時対応型訪問介護に加わりました。
夜間対応などが充実
病院などに入院し一定の治療が終わり、退院して自宅に戻れる状態でも、在宅医療による医師の管理下にある要介護者は、在宅生活を続けるために訪問介護や訪問看護を利用する場合があります。
従来のサービスでは、夜間や深夜の対応が難しかったり、平日だけしか利用できないなどの使いづらさがあるため、この定期巡回・随時対応型訪問介護看護は理にかなっているサービスと言えます。
利用は1月単位の定額制
このサービスは要介護度によってはデメリットもあります。問題点は大きく2つあります。
1つは、他のサービスと違って、費用が「包括払い」という月単位の支払いになります。他のサービスが、「1回当たり」とか「1日につき」あるいは時間単位で利用料が決まるのに対し、こちらは1月単位の定額制になります。
定期的に訪問する回数や要望に応じた随時訪問の回数が多くなると採算性が悪くなるため、事業者側が意図的にサービス量を調整する可能性があり、結果的に必要なときにサービスが受けられない事態が発生している事例もあります。もちろん、人手不足で対応できないとか、同時間帯にサービス提供が重なり、対応できないということもあると思います。
2つ目の問題点は、サービス費用が介護保険の利用限度額の8割を占めてしまい、他のサービスが利用し難くなることです。
例えば、要介護4の人の利用限度額が約31万円(3万0938単位)に対して、一体型の事業所が提供する『訪問看護を行う場合』の金額は約24万円(2万4434単位)で、限度額単位の約80%に相当します(単位数は2021年4月からの数字です)。そうなると、定期巡回・随時対応型訪問介護看護以外の利用したいサービスがかなり限られてしまいます。
福岡 浩
介護業務運営・業務改善コンサルタント
元介護サービス情報の公表制度主任調査員
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】