【元調査員が解説】より重度の要介護者が対象「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の概要

【元調査員が解説】より重度の要介護者が対象「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の概要
(※画像はイメージです/PIXTA)

超高齢社会となったいま、要介護者となったご高齢者、そしてそのご家族の方が「介護サービス」の種類や内容を知り、適切に活用することは非常に大切です。ここでは、在宅で受けられる介護サービスのうち、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」について、介護業務運営・業務改善コンサルタントで、元・介護サービス情報の公表制度主任調査員が解説します。

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要介護1~5:中重度者向けの24時間対応サービス

「訪問介護」に比べ、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、より重度の要介護者を対象としている点が大きな違いです。

 

日中・夜間を通じて、訪問介護と訪問看護が一体的にまたは密接に連携しながら、定期巡回と随時の対応を行うサービスです。定期巡回は、予め決められた時間に1日数回訪問し、随時対応は、事業所に電話するとオペレーターが対応し、巡回中もしくは待機中の訪問介護員を急行させるサービスです。要介護1~5の人が利用できます。

 

1つの事業所で訪問介護と訪問看護を一体的に提供する「一体型」と、訪問介護を行う事業者が地域の訪問看護事業所と連携して、サービスを提供する「連携型」があります。

 

元々、1人暮らしの要介護高齢者や高齢者のみの世帯で介護力に限界がある人の利用を見込んで、24時間365日対応の訪問介護として始まりました。その後、中重度の要介護者は、医療的管理を必要とする場合が多く、訪問介護と訪問看護を一体的に提供できるサービスとして、訪問看護が定期巡回・随時対応型訪問介護に加わりました。

夜間対応などが充実

病院などに入院し一定の治療が終わり、退院して自宅に戻れる状態でも、在宅医療による医師の管理下にある要介護者は、在宅生活を続けるために訪問介護や訪問看護を利用する場合があります。

 

従来のサービスでは、夜間や深夜の対応が難しかったり、平日だけしか利用できないなどの使いづらさがあるため、この定期巡回・随時対応型訪問介護看護は理にかなっているサービスと言えます。

 

利用は1月単位の定額制

このサービスは要介護度によってはデメリットもあります。問題点は大きく2つあります。

 

1つは、他のサービスと違って、費用が「包括払い」という月単位の支払いになります。他のサービスが、「1回当たり」とか「1日につき」あるいは時間単位で利用料が決まるのに対し、こちらは1月単位の定額制になります。

 

定期的に訪問する回数や要望に応じた随時訪問の回数が多くなると採算性が悪くなるため、事業者側が意図的にサービス量を調整する可能性があり、結果的に必要なときにサービスが受けられない事態が発生している事例もあります。もちろん、人手不足で対応できないとか、同時間帯にサービス提供が重なり、対応できないということもあると思います。

 

2つ目の問題点は、サービス費用が介護保険の利用限度額の8割を占めてしまい、他のサービスが利用し難くなることです。

 

例えば、要介護4の人の利用限度額が約31万円(3万0938単位)に対して、一体型の事業所が提供する『訪問看護を行う場合』の金額は約24万円(2万4434単位)で、限度額単位の約80%に相当します(単位数は2021年4月からの数字です)。そうなると、定期巡回・随時対応型訪問介護看護以外の利用したいサービスがかなり限られてしまいます。

 

※1単位=10円の場合。基本単価のほか、各種の加算・減算がある。
※1単位=10円の場合。基本単価のほか、各種の加算・減算がある。

 

 

福岡 浩

介護業務運営・業務改善コンサルタント

元介護サービス情報の公表制度主任調査員

 

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本記事は長年に渡り介護事業の運営・マネジメントに携わってきた福岡浩氏の著書『プロの調査員が教える!介護事業所・施設の選び方が本当にわかる本』(自由国民社)より一部を抜粋・再編集したものです。

プロの調査員が教える! 介護事業所・施設の選び方が本当にわかる本

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福岡 浩

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