(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅金融支援機構が公表しているデータによると、現在日本では、25人に1人が住宅ローンの返済に問題を抱えていると分かっています。滞納が続くと、強制執行される前に家を売却し、売った金額でローンを返済していく「任意売却」手段をとるのが一般的なのですが…。クラッチ不動産株式会社代表取締役の井上悠一氏が、任意売却中に「借金を放置した場合」「借主が亡くなった場合」について解説していきます。

限定承認、相続放棄の「熟慮期間」は●ヵ月

このうち限定承認と相続放棄は家庭裁判所を利用した手続きとなり、相続人が自己のために相続の開始があったことを知ったとき(通常は亡くなられたとき)から、3ヵ月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。

 

この3ヵ月という期間は「熟慮期間」と呼ばれ、熟慮期間が過ぎると、相続放棄や限定承認を行うことはできなくなります。つまり、熟慮期間が過ぎると、単純承認をしたものとみなされ、債権者から督促状が届けば、支払わなければならなくなるのです。

 

相続放棄をした場合は、その人は最初から相続人ではなくなりますので、次順位の相続人に相続権が移ります。相続にも順位があって、第1順位は子、第2順位は両親、祖父母などの直系尊属、第3順位は兄弟姉妹になり、配偶者は常に相続人になります。

 

例えば、子どもが相続放棄をすれば、亡くなられた方の両親が健在であれば両親が、両親も祖父母も亡くなっている場合は兄弟姉妹が相続人になります。そのため、任意売却後の住宅ローンの残金が相続されると、子どもや配偶者だけでなく、親、兄弟も巻き込んで、相続放棄をする必要が出てくるのです。

 

亡くなったあとに家族や親族に迷惑をかけたくない場合は、自己破産で借金をゼロにしておくか、個人再生や任意整理で借金を減額してもらって、生前に完済しておくのが無難です。

 

 

井上悠一

クラッチ不動産株式会社代表取締役

 

※本連載は、井上悠一氏の著書『あなたを住宅ローン危機から救う方法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

あなたを住宅ローン危機から救う方法

あなたを住宅ローン危機から救う方法

井上 悠一

幻冬舎メディアコンサルティング

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