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自治体の職員ではないケアマネとは
ケアマネジャー(居宅介護支援専門員)は公務員か、それに準じる公的な職業と思っている人が多いのではないでしょうか。
介護は大方、市区町村の役所(役場)の担当課への問い合わせから始まります。職員から要介護認定の手続きなどの説明を受け、介護サービスを受けることになると、やってくるのがケアマネです。また、給料も現状は国の施策である介護保険制度の保険金から全額支払われています。公的職業と思われてもおかしくない条件がそろっているわけです。
しかし、じっさいは自治体の委託を受けて仕事をする民間の専門職なのです(ちなみに、要介護認定の調査員も民間人であることが多い)。
では、ケアマネはどんな組織に所属しているのでしょう。
まず、地域包括支援センター(包括)の職員がいます。包括は全国の市区町村に設置されている、地域の高齢者の介護・医療・福祉などにかんする相談や支援を行なう組織。市営、区営、町営、村営のほか、民間の社会福祉法人、社会福祉協議会、企業などが自治体から委託を受けて運営されているケースもあります。
居宅介護支援事業所(事業所)に所属しているケアマネもいます。数人のケアマネを雇用し、包括の依頼を受けて利用者宅に派遣する民間企業です。厚生労働省の調査によれば、1事業所の平均所属人数は約3人。小規模経営であることがわかります。組織には属さず、単独で仕事を請けおう「1人ケアマネ」もいます。
このほか介護付き高齢者住宅などの施設に所属するケアマネもいますが、担当するのはその施設の入居者に限られるので、在宅介護のケアマネは「包括所属」「事業所所属」「1人ケアマネ」の3種といえます。
事業所所属と1人ケアマネは包括に対して営業活動を行ないます。利用者にケアマネを送りこむ窓口は包括。包括に声をかけてもらわなければ、仕事が獲得できないからです。
介護職は人手不足といわれ、そのなかにケアマネも入るので不思議な気がしますが、ケアマネひとりあたりの利用者基準(35人)を満たす人数を担当しないと十分な収入が得られないので、その枠に空きがあるケアマネは営業活動をする必要があるのです。
その点、包括に所属するケアマネは営業活動をしません。介護が始まる人、つまり新規の利用者が生じた場合、優先的に担当を割り振られるからです。といって、包括のケアマネがみな優秀だとか信頼できるというわけではありません。
事業所所属にも1人ケアマネにも、そして包括所属にも頼れるケアマネはいるし、問題のあるケアマネもいる。所属先でケアマネの良し悪しを判断することはできないと思ってください。