ケアマネの受験資格は国家資格が必要
ケアマネは、いくつかの高いハードルを乗り越えなければ、なれない職業です。ケアマネ試験の受験資格は、定められた国家資格所持者で5年以上の実務経験をもつ者となっています。
まず、この国家資格を取るのが大変です。
受験のために所持しておかなければならない国家資格を挙げると、
「介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士」
の21種があります。これらのいずれかの資格を取るには、それぞれ大学や専門学校に入って、その分野の勉強をして卒業するか、所定の実務経験を積まなければなりません。
そして資格試験に挑戦。難易度に差はありますが、そのハードルを越えて国家資格を取得。さらに5年以上の実務経験を積んで、初めてケアマネ試験の受験資格が得られます。
もっとも、受験資格があるといっても、ケアマネ試験を受けることのない人たちもいます。医師や歯科医師がそうです。本業が忙しいですし、十分な給与・報酬が得られますから、ケアマネ資格を取る意味がないのです。ごくまれに介護に関心のある人や資格マニアが受けることはあるそうですが、合格してもケアマネになる人はいません。
あん摩マッサージ指圧師やはり師、きゅう師なども、職業としての方向性が違いますから、ケアマネ試験を受験することはないでしょう。そのように見ていくと、ケアマネをめざす人の国家資格は限られてきます。
ケアマネの資格を取って職業としている人の資格別の割合は、おおよそ介護福祉士が6割、2割が看護師か准看護師、残る2割が社会福祉士と精神保健福祉士といったところです。
もっとも多い介護福祉士は、名称が示すとおり介護の専門職。もともと介護の分野で働きたいという志があり、そのための知識やスキルを身につけてきた人たちです。割合が多いのも当然です。
看護師(以下、准看護師も含む)は職業柄、ケアの知識やスキルをもっていますから、ケアマネへの転向を考えやすいポジションにいるということでしょう。
社会福祉士は高齢者に限らず、身体の障害や病気、困窮などの理由で日常生活が困難な人から相談を受け、支援にあたる専門職、精神保健福祉士は精神障害者の生活や社会復帰を支援する専門職です。分野は異なりますが、困っている人たちの手助けをしたいという思いがある点では共通しており、ケアマネと親和性のある職業といえます。