(※写真はイメージです/PIXTA)

長寿化が進む日本社会。健康かつ豊かに生活できればいいものの、認知症を発症する高齢者の方は増え続けています。医療法人「やわらぎ会」理事長の北廣美医師は、認知症について「“他人事”ではなく、“自分事”として捉えてほしい」と警鐘を鳴らしています。

そもそも「認知症」とは何か…紐解くと分かる恐ろしさ

■そもそも認知症とは何か?

 

認知症とは、「いったん獲得した知的機能が持続的に低下し、複数の認知機能障害のために社会生活に支障をきたすようになった状態」と定義されています。すなわち、認知症というのは“状態”のことであり、特に認識力や記憶力、判断力といった社会生活や対人関係に欠かせない能力が衰え、生活に支障をきたす状態を指しているわけです。

 

65歳未満の人が発症する認知症を「若年性認知症」といいます。認知症の症状を認める疾患は数多くありますが、その中で代表的なものとしては次の三つのタイプがあり、「三大認知症」といわれています。

 

・アルツハイマー型認知症(いわゆるアルツハイマー病)

・レビー小体型認知症

・脳血管性認知症

 

これら三つの認知症に「前頭側頭型認知症」を加えて「四大認知症」という場合もあります。

 

この中でアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)がもっとも多く、認知症の6~7割を占めています。

 

アルツハイマー病は、脳の神経細胞が減少したり、記憶を司る海馬が萎縮するために、記憶や思考能力がゆっくりと低下していき、最終的には日常生活の最も単純な作業さえできなくなるばかりか、自分が誰であるのかまでわからなくなっていくという、恐ろしい病気です。ほとんどの場合、60歳以降に初めて症状があらわれます。

 

アルツハイマー型認知症の次に多いのが「レビー小体型認知症」です。主として大脳皮質の多数の神経細胞内に神経細胞のゴミともいわれる「レビー小体」という物質が蓄積し、物忘れのほかに幻覚症状などが現れます。また、手足がこわばり、運動障害が生じるなど、パーキンソン病に似た症状を伴います。その次に多いのが脳血管性認知症です。

 

アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症は脳の神経細胞が変性、萎縮するために発症しますが、脳血管性認知症は脳の動脈硬化や脳梗塞などで、脳の血流が悪くなるために起こります。

 

■完治は難しいが予防は可能

 

認知症を完治する有効な治療法は、残念ながら今のところは見つかっていません。というのは、認知症(特にアルツハイマー病)の症状が現れる前から脳内ではタンパク質の異常な蓄積が始まっており、認知症と診断された時には、すでに相当の神経細胞が機能不全に陥っていると考えられているからです。そのため、認知症を発症した時点ではその対策はきわめて困難になるのです。

 

認知症が増えている背景として、食生活の欧米化、自動車の普及に伴う運動量の減少、核家族化による対話の喪失や社会的な交流の減少など、近年の生活スタイルの変化がありますので、こうした生活スタイルを改善し、健康的な生活を送ることで予防は可能です。

 

ですから、若い頃から意識して健康的な生活を送るように心がけていれば、その予防効果は大きいと思います。

 

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北 廣美

1949年、奈良県生まれ。

1976年、和歌山県立医科大学卒業。

近畿大学医学部付属病院第一外科、昭和病院外科医長を経て、現在、医療法人「やわらぎ会」理事長。

主な著書

『C型肝炎と乳酸菌』(共著、メタモル出版)

『がんを倒す勝利の方程式』(共著、東邦出版)

『がん治療 重大な選択』(東邦出版)ほか

 

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『人生100年時代健康長寿の新習慣』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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