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「豊かさカード」の優先順位をつける
前回、人生テーマの源泉となるのが「価値観」であり、私は、「価値観」は「生い立ち」「出会い」「出来事」の3つの要素によって形づくられると考えていると述べました。また、豊かさについて考えることも、自分の「価値観」を探ることになります。
4枚の「豊かさカード」が示すのは、次のような豊かさ(自由度)を求める価値観です。
○ 経済的豊かさ(経済的自由)
経済的自由とは、どうしても何かをしたいと思ったとき、お金がかかるという理由であきらめないですむという程度にはお金があるということだ考えています。
しかし、「あなたは何を大切にして生きていこうと思うか」という問いかけに対する答え、すなわち、価値観の尺度となると、「高収入を得たい」「経済的に安定した生活を送りたい」といった願望も含まれるでしょう。
○ 精神的豊かさ(精神的自由)
精神的自由は、一般的には、やりたいことをやる自由、そして、やりたくないことをやらない自由だと思います。しかし、価値観の尺度となると、「社会的な貢献などやりがいを感じられることをしたい」といった社会性を持った精神的自由まで広がるでしょう。
また、人間は人とのつながりのなかで生きる生き物です。人間関係を大切にしてネットワークを自在に広げ、グループやチームで何かをなし遂げることができるようなコミュニケーションの豊かさ(自由)も、精神的自由に含まれます。
また、ものごとの本質を突き詰めたいと思い、専門的な知識や技能に磨きをかけていく専門性の追求も、精神的な自由といえるでしょう。
○ 時間的豊かさ(時間的自由)
やりたいことの優先順位が高いことがらについて、自分以外の事情によって阻害されないことを時間的自由と呼びますが、別のいい方をすれば、自分で時間をコントロールできるということでしょう。そのなかにはプライベートな時間も含まれます。総じて、充実した時間を過ごせるようになります。
○ 肉体的豊かさ(肉体的自由)
健康であること。どうしてもやりたいこと、やるべきことがあるとき、何らかの健康上の理由でやることができないという状態では、肉体的自由があるとはいえないでしょう。もちろん、40〜50代になれば、身体のどこかに不調が生じるでしょうが、医師の指導なども得て、自分で体調をコントロールできていれば、肉体的自由は確保できていると考えていいでしょう。
この4枚の「豊かさカード」を優先順位に沿って並べるのですが、その際、それぞれの豊かさ(自由度)について、なぜ、その順位なのか、その豊かさ(自由度)は自分にとってどんな意味を持つのかを考えてみることです。
私がビジネスマンから、大学教員へ転身したときには、4つの自由について、2勝1敗1分けで自由の拡大になりました。経済的自由は減。肉体的自由は不変。研究者として最も必要な時間的自由と精神的自由は大きく増大する。
このとき、私は、「精神的自由・時間的自由→肉体的自由→経済的自由」のように優先順位を考えたわけです。