開発段階の不動産を取得する場合もあるが・・・
(12)開発物件に関するリスク
投資法人が、竣工後に不動産や不動産信託受益権を取得するためにあらかじめ開発段階で不動産等の売買契約等を締結することがあります。
この場合、既に稼働中の物件につき売買契約を締結して取得する場合に比べて、以下のような可能性が固有のリスクとしてあります。
①開発途中において、地中障害物、埋蔵文化財、土壌汚染等が発見されることがあり、これらが開発の遅延、変更または中止の原因となる可能性
②工事請負業者の倒産または請負契約の不履行により、開発が遅延、変更または中止される可能性
③開発コストが当初の計画を大きく上回る可能性
④天災地変により開発が遅延、変更または中止される可能性
⑤行政上の許認可手続きにより開発が遅延、変更または中止される可能性
⑥開発過程において事故または近隣等との間で紛争が生じる可能性
⑦竣工後のテナントの確保が当初の期待を下回り、見込み通りの賃貸事業収入を得られない可能性
⑧その他予期せぬ事情により開発が遅延、変更または中止される可能性
土地や建物に有害物質が含まれていたらどうなる?
(13)有害物質に関するリスク
土地については、一般的に産業廃棄物等の有害物質が埋蔵されている可能性は否定できず、有害物質が埋蔵されている場合にはその価格が下落する可能性があります。また、有害物質を除去するために土壌の入れ替えや洗浄が必要となる場合には、予想外の費用が発生するおそれがあります。
さらに、有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接または不動産信託受託者を通じて間接的に、投資法人がその損害を賠償する義務を負担する可能性があります。
土壌汚染等に関しては、土壌汚染対策法が制定され、2003年2月より施行されています。同法に規定する特定有害物質に関する一定の施設を設置していた場合や土壌の特定有害物質による汚染により人の健康にかかわる被害が生ずるおそれがあると認められる場合には、その土地の所有者、管理者または占有者等は、汚染の状況について調査報告することや、汚染の除去、汚染の拡散の防止など必要な措置を講ずべきことを命じられることがあります。
この場合、投資法人に多額の負担が生じる可能性があります。しかも、投資法人は支出を余儀なくされた費用についてその原因となった者やその他の者から常に償還を受けられるとは限りません。
一方、建物については、一般的に建材等にアスベスト、PCBその他の有害物質を含む建材や設備が現在使用され、あるいは過去に使用されていた可能性もあります。その場合には、建物の価格が下落する可能性があります。また、有害物質を除去するために建材の全面的または部分的交換が必要となる場合には予想外の費用が発生する可能性があります。
さらに、有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接または不動産信託受託者を通じて間接的に、投資法人がその損害を賠償する義務を負担する可能性があります。
また、環境関連法令につき、将来、不動産に関して規制が強化され、不動産の所有者に大気、土壌、地下水等の汚染に関する調査義務、除去義務、損害賠償義務が課されまたは過失がなくても責任を問われることとなる可能性もあります。