「日常にあるものすべて」が暮らしを彩るアートになる
著者の家には、たくさんのアートがある。友人の画家が描いた絵もあるし、実家で親しんでいたものもあれば、家内の作品も部屋のそこここにある。
フランスに「アール・ド・ヴィーヴル(Art de Vivre)」という言葉があるように、アートは生活を豊かにする。直訳すると「Art」が「芸術」、「de」は前置詞で、「Vivre」が「暮らし」。「生活美学」「暮らしの芸術」という意味だ。
小さな絵画でもいいし、オブジェだってかまわない。心惹かれるものを選びとり、日常を過ごす空間に置いてみる。そこに作品があることで、場の空気がゆっくりと変化していき、無意識のうちにも心が潤い、ゆっくりと耕される。
アートというと、絵画や立体作品を思い浮かべるが、著者は階段もアートだと思っている。なかでもらせん階段は実に優美な立体美術だ。
ヴァチカン美術館やルーブル美術館のらせん階段はよく知られるところだし、最近だと現代美術家のレアンドロ・エルリッヒも、らせん階段をテーマにインスタレーションを行っている。
我が家では、玄関を入ってすぐのところにらせん階段がある。この家を設計するときに、「らせん階段があったら彫刻のようで面白いな」と思ったのだ。
加えて、人の動線を上下に導くのが楽しい。円弧を描きながら、住まいの上階と階下をつなぐ。親しい友人や知人が我が家を訪れ、笑いさざめきながらこの階段を上がっていく様子は、まるで幸福なインスタレーションのようだ。
大理石の大きな彫刻は我が家の雰囲気には似合わないけど、45年前につくったらせん階段は、今も我が家のシンボルとしてモダンな空気を漂わせている。そう、アーティストが手がける作品だけがアートではない。らせん階段がそうであるように、僕たちの日常にはたくさんのアートがあり、幸福度を高めてくれるのだ。
田村 昌紀
SEMPRE DESIGN 代表取締役会長
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