喫煙によってインビザラインは劣化する
マウスピースにヤニ汚れが付着すると劣化しやすいため、禁煙を推奨します。もしどうしても我慢できない場合は、必ずマウスピースを外してから喫煙してください。
できればこれを機に禁煙生活を送ってみてほしいと考えます。喫煙者は歯周病にかかる確率が高いといわれているからです。日本臨床歯周病学会が発表する統計データによれば、1日10本以上喫煙した場合は5.4倍に、10年以上吸っている人では4.3倍にリスクが高まり重症化しやすいという結果も出ています。
歯周病は歯茎の炎症によって発見しやすいのですが、タバコに含まれるニコチンには血管収縮作用があって出血を起こしにくくしてしまうため、歯茎の変化に気づきにくいのです。タバコは歯にとっても百害あって一利なしです。
妊娠中でもインビザラインは可能
マウスピース自体は医療用プラスチックでできているため人体に害はないので安心してください。
しかし、インビザラインを始める際には精密検査でレントゲン写真を撮影する必要があります。あらかじめ産婦人科の担当医に相談しておくことをおすすめします。
インビザラインに向かないケース
マウスピースは自分で取り外しができるがゆえに、装着時間を守らないと治療がスムーズに進まなくなってしまいます。ですから、決められたルールに従うのが窮屈だと感じる人には向いていないかもしれません。言い換えれば、どんなに忙しくても自分の理想の口元を実現するために頑張るぞと自分を奮い立たせることができる人なら、誰でもインビザラインで美を手に入れることができるでしょう。
また、よく「インビザラインに向いていない歯はありますか」と聞かれますが、こればかりは実際に診察してみないことには分かりません。なかには外科手術が必要になるような、治療が困難なケースもありますが、皆さんが思っているよりもずっと、インビザラインはさまざまな歯並びを改善できます。
マウスピースの装着・交換を忘れないために
当院では、アプリを用いて、患者さんのマウスピースの装着を管理しています。「どんなマウスピースを装着するか」「マウスピースは合計何枚あるか」「それぞれのマウスピースは何日間装着する予定か」「現在のマウスピースは何番か(※お渡しする際に間違えないよう、一つひとつのマウスピースの袋には番号が振られています)」「現在の番号のマウスピースは装着してどのくらいになるか」「マウスピース交換のリマインダー設定時刻はどうするか」といった基本情報を最初に入力すると、アプリが自動でマウスピースの交換日を通知してくれるので、うっかりつけ忘れることも起こりにくいのです。「今日はあとどのくらいつけたら目標の20時間装着が達成できるかな」という意識づけにもなります。
また、自分の歯の写真を残せるので、モチベーションが下がったときには、過去の歯を見返し「少しずつとはいえ、こんなに変化が起きているんだからこれからも頑張ろう」と自分を奮い立たせることもできます。
「自己管理が苦手だから、インビザラインは向いていないのかもしれない」という患者さんもいますが、いまはこうした便利なアプリがあるので、上手に活用することで治療期間を乗り越えてもらえると思います。
三嶋 一平
医療法人むらつ歯科クリニック勤務医
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