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相続税の修正申告が必要となるケース
一度提出した相続税の申告書を修正する必要があるのは次のような場合です。
・財産評価や税額計算に誤りがあった場合
・後から遺産が見つかった場合
・遺留分減殺請求を受けて相続した遺産が減少した場合
・申告期限内に遺産分割ができないため法定相続分で分割したことにして申告をして、後日法定相続分と異なる割合で分割した場合
これらの理由で税額が変わる場合に申告をやり直すことになりますが、税額が不足していたか過大であったかによって手続きは異なります。
・税額が不足していた場合(税金を追加で納める場合):修正申告
・税額が過大であった場合(税金を払い戻してもらう場合):更正の請求
税額が不足していた場合の「修正申告」
相続税を納めたものの税額が不足していたことがわかった場合は、税務署に修正申告書を提出します。修正申告書は税務調査で更正を受けるまでであれば、いつでも提出することができます。
ただし、不足していた税額については、本来の納付期限の翌日から起算して延滞税が課税されます。誤りに気がついた場合は1日も早く修正申告することをおすすめします。
■税務調査があると8割の人が修正申告に
相続税を申告してからしばらくすると、税務調査が行われる場合があります。税務調査が行われる割合はおおむね5件に1件で、申告した翌年か翌々年の秋ごろに実施されることが多くなっています。
税務調査で申告の誤りが見つかると修正申告を求められますが、税務調査があるとその8割のケースで申告の誤りを指摘されるともいわれています。
税額が過大であった場合の「更正の請求」
納税した相続税が過大であったことがわかり払い戻しを受けたい場合は、修正申告ではなく更正の請求の手続きをします。更正の請求は申告期限から5年以内、つまり被相続人の死亡から5年10ヵ月以内であればできます。
ただし次に掲げる特別な理由があった場合は、それらを知った翌日から4ヵ月以内に更正の請求をします(申告期限から5年を過ぎていても請求できます)。
・未分割だった遺産を分割した
・認知や廃除をしたことで相続人が変わった
・遺留分の減殺請求があって相続した遺産を譲り渡した
・未分割だった遺産を分割して軽減措置や特例を適用する
・遺贈を定めた遺言書が見つかった、あるいは遺贈の放棄があった