叶姉妹のご指名で本の告知だけの番組出演
かくお膳立をして待っているのだがこれを食べるか否かは箸を取る人のいかんにあるので、御馳走の献立をした上に、それを養ってやるほど先輩や世の中というものは暇でない。
【『論語と算盤』立志と学問】
■松陰先生の言葉を思い出した!
「なぜ、松陰先生がここで登場する?」と渋沢さんは何やら不機嫌そうです。いやいや渋沢さん、「学んだことを実行に移さないと意味がない」、つまり自分で考えて、自分で行動してみないと意味がないと松陰先生はおっしゃっています。そのことに通じるかなと思ったんです。
「自分で箸を持とう」という言葉は、実に渋沢さんらしい言葉です。
渋沢さんはその意味を、「その人に手腕があり、優れた頭脳があれば、若いうちから世間が放っておくことはない。官庁も、会社も、優れた人物を欲しているのだ。だから、周囲の人間が、このように人材登用のお膳立てをしてくれる。このご馳走を食べるかどうかは箸を取る自分たちの気持ち次第でしかない。ご馳走の献立をつくり、そのうえ口に運んでくれるほど、世の中はそんなに暇ではないのだ」と語ります。
そして、渋沢さんは仕事論を展開します。その仕事論の肝は、「小さなことは分別せよ。大きなことには驚くな」と語っています。どんな仕事でも、商売でも、軍務でも、最初は何事にもこの考え方でなくてはならないと注意を喚起しています。凡事徹底、仕事のキレは、細部に宿るものなのです。
■指名は最高の成功報酬だ
フジテレビのとある番組に、ゲストの叶姉妹さんが自身の本の告知のために出演していました。
制作スタッフの方との打ち合わせ時に、叶姉妹さんから「自分の本を自分で告知するのは、なんかとてもやりにくいわ」という話があり、叶姉妹さんが「だったら、大木さんを呼んで、大木さんに告知してほしい」と言ったそうです。
そこで、僕が呼ばれました。番組の終わりだけに出て、「ということで、叶姉妹から本が出ました」と告知して帰りました。すると、中山秀征さんから一言。
「大木、おまえ何しに来たんだ!?」
指名されるというのは、最高の成功報酬ですね。こうした仕事のギャランティは安いものですが、僕はそうした仕事ほど頑張る体質です。少なくとも、その精神は持っていなくては、といつも思っています。まさに、渋沢さんがおっしゃっている「相手が利することも考えよう」という精神でした。
僕は意外と他人軸で仕事をしてきた時間が多かったので、自分軸をもう一度、持たなくてはと思いつつ、他人軸のことも考えてしまいます。
ビビる大木