(※写真はイメージです/PIXTA)

ユーロ圏の景況感を11月のPMIで見ると高水準を辛うじて維持しました。ただユーロ圏で経済規模が最大のドイツの景況感をIfo指数で見ると軟調となっています。どちらが実態に近いかといえば、足元のユーロ安を見ても独Ifo企業景況感指数の方が実態に近いと思われます。独経済の先行きが不透明となる中、同国の舵取りはショルツ氏にゆだねることとなります。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

インデックスファンドより高いリターンを狙う!
「アクティブファンド特集」を見る

欧州景況感指標:高水準を維持するも、ドイツの景況感に減速感が見られる

IHSマークイットが2021年11月23日に発表したユーロ圏の11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は58.6と、市場予想の57.4、前月の58.3を上回りました(図表1参照)。

 

月次、期間:2018年11月~2021年11月(速報値) 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]ユーロ圏と主な国(独、仏)の製造業PMIの推移 月次、期間:2018年11月~2021年11月(速報値)
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

ドイツのIfo経済研究所が11月24日に発表した11月の独Ifo企業景況感指数は96.5と、市場予想の96.7、前月の97.7を下回り、4月以来の低水準となりました(図表2参照)。今後半年の見通しを示す期待指数も低下しました。

 

月次、期間:2017年11月~2021年11月 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]独Ifo企業景況感指数の推移 月次、期間:2017年11月~2021年11月
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:製造業PMI、独Ifo企業景況感指数、ショルツ

ユーロ圏の景況感を11月のPMIで見ると高水準を辛うじて維持しました。ただユーロ圏で経済規模が最大のドイツの景況感をIfo指数で見ると軟調となっています。どちらが実態に近いかといえば、足元のユーロ安を見ても独Ifo企業景況感指数の方が実態に近いと思われます。独経済の先行きが不透明となる中、同国の舵取りはショルツ氏にゆだねることとなります。

 

まず、底堅さを見せた11月のユーロ圏製造業PMIを振り返ります。11月のユーロ圏製造業PMIは市場予想を上回ったように「意外に強かった」のが第一印象でした。内容を見ても先行きを示唆する新規受注指数は50を大きく上回り受注が当面の下支え要因と見られます。

 

ただ、ユーロ圏製造業PMIに注意が必要です。ユーロ圏ではエネルギー価格上昇や供給問題でコスト増に直面しています。供給問題では納期の長期化が見られ、通常であれば生産活動が活況という解釈から納期の長期化はプラス要因ですが、現状では割り引く必要があると思われます。

 

別の注意としてユーロ圏の景気回復度合いに違いが見られることです。11月製造業PMIについて見ると、フランスの製造業PMIは54.6と、前月を上回り堅調でしたが、ドイツの製造業PMIは57.6と小幅ながら前月を下回りました。

 

そこで、次にドイツの景況感を独Ifo企業景況感指数で確認すると(図表2参照)、今年春をピークに減速傾向です。気がかりなのは6ヵ月先を示唆する期待指数が94.2と、今年6月をピークに5ヵ月連続で低下していることです。

 

ドイツ製造業はこの半年ほど減速感が強まっています。その背景として、主要な貿易相手である中国の景気減速が考えられます。また、ドイツは自動車を主力産業とすることから、半導体不足など供給問題が生産を抑制したと見られます。さらに足元では新型コロナウイルスの感染再拡大の影響も深刻です(図表3参照)。

 

日次、期間:2020年1月23日~2021年11月23日、7日移動平均 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表3]欧州の新型コロナウイルス新規感染者数の推移 日次、期間:2020年1月23日~2021年11月23日、7日移動平均
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

欧州の足元のコロナの感染状況を見ると、ドイツなどのように感染が深刻な国と、イタリアやスペインなど感染は見られますが相対的に感染が抑制された国とに分けられます。コロナ感染が、今は感染が抑えられた国にも広がるのか、それとも収束するのかなど今後どのように展開するのかを予測はできませんが、すでに感染が拡大しているドイツなどでは少なくとも短期的に若干景気の下押し要因となることが見込まれます。

 

そのドイツの新たなリーダーに社会民主党(SPD)のショルツ財務相が就任する方向です。想定される政策については正式な就任を待って別にレポートする予定です。

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『高水準を維持も減速感が続くドイツ』を参照)。

 

(2021年11月25日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

日本経済の行方、米国株式市場、新NISA、オルタナティブ投資…
圧倒的知識で各専門家が解説!カメハメハ倶楽部の資産運用セミナー

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【12/10開催】
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?

 

【12/10開催】
不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは

 

【12/11開催】
家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンに
ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討

 

【12/12開催】
<富裕層のファミリーガバナンス>
相続対策としての財産管理と遺言書作成

 

【12/17開催】
中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
―「投資先としての中国」を改めて考える

 

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録