(※写真はイメージです/PIXTA)

11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では債券購入政策の縮小となるテーパリング開始が発表されました。市場も、事前に十分予想されたこととはいえテーパリング開始の確認に注目していました。ただ、議事要旨を見るとテーパリング後の政策運営も柔軟に実施する方針が示されており、金融政策の前倒しが示唆される内容と見られます。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

インデックスファンドより高いリターンを狙う!
「アクティブファンド特集」を見る

FOMC議事要旨:11月のFOMCではテーパリングの開始が公表された

米連邦準備制度理事会(FRB)は2021年11月24日に今月2~3日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を発表しました。

 

11月のFOMCではそれまで月に米国債など計1200億ドルの資産を購入していた量的緩和の縮小(テーパリング)を決め、11月から購入を月額150億ドルずつ減らしています。

どこに注目すべきか:FOMC、議事要旨、テーパリング、前倒し

11月のFOMCでは債券購入政策の縮小となるテーパリング開始が発表されました。市場も、事前に十分予想されたこととはいえテーパリング開始の確認に注目していました。ただ、議事要旨を見るとテーパリング後の政策運営も柔軟に実施する方針が示されており、金融政策の前倒しが示唆される内容と見られます。

 

議事要旨は米国のインフレについて一時的であるとの表現を維持しつつも想定よりもインフレが長期化し、水準も高いことを示唆しています。議事要旨ではインフレ上昇の背景としてエネルギー価格の上昇に加え、供給問題の長期化、賃金の上昇、家賃など幅広い物価項目の上昇と説明しています。

 

FOMC後に発表された代表的なインフレ指標である個人消費支出(PCE)価格指数の10月分は前年比5.0%上昇し、エネルギー価格などを除いたコアは同4.1%上昇しました(図表1参照)。

 

月次、期間:2016年10月~2021年10月、前年同月比(左)と前月比(右) 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米PCE(個人消費支出)価格指数の推移 月次、期間:2016年10月~2021年10月、前年同月比(左)と前月比(右)
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

PCE価格指数全体はエネルギー価格などによる押し上げを反映していますが、それを含まないコア指数も上昇していることからインフレが幅広い項目に広がっていることが示されていると考えられ、議事要旨の物価に関する見解と整合的となっています。

 

今回の議事要旨では注目されていたテーパリングについて当面の購入縮小額など具体的な内容を明記したうえで、当面は同額の減少を維持する方針も記されています。

 

しかしながら、議事要旨で注目すべきは今後の金融政策運営に柔軟性を持たせることを示唆したことです。リスク管理の観点のような体裁ながら、現状の非常に不確実な状況においては政策変更の可能性をテーパリングだけでなく政策金利の変更が場合によってはありえることを示唆していると見ています。

 

さらに注目したいのは最近のFOMC参加者の発言の変化で、議事要旨のこの点と整合的なことです。例えばハト派(金融緩和を選好)のサンフランシスコ(SF)連銀総裁がインフレ上昇が続くようであればテーパリングのペースの加速を認める発言をしています(図表2参照)。

 

出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]FOMC参加者の最近(21年11月)の主な発言 出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

また、ウォラー理事やクラリダ副議長らもテーパリング終了時期の前倒しの議論の必要性を訴えています。比較的中立の立場から、ややタカ派(金融引締めを選好)にシフトした印象です。テーパリング終了時期の前倒しは早期利上げの議論とセットと見られます。

 

もっとも正当(?)なタカ派のセントルイス連銀のブラード総裁はテーパリング前倒しに加え、FRBが保有する資産の償還で再投資をせず、バランスシートの縮小まで提案していますが、さすがにその提案への支持は広がっていないようです。

 

このような変化から、従来テーパリングは来年6月終了、利上げは22年後半に1回を想定していましたが、テーパリング終了時期の前倒しと22年に2回の利上げを想定しています。

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『11月FOMC議事要旨の隠し味』を参照)。

 

(2021年11月26日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

\PR/ 年間延べ7000人以上が視聴!
カメハメハ倶楽部
「資産運用」セミナー

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

【5/7開催】ABBA案件の成功体験から投資戦略も解説
世界の有名アーティスト「音楽著作権」へのパッション投資とは

 

【5/8開催】使わない理由はない!?
金融資産1億円以上の方だからできる「新NISA」活用術

 

【5/8開催】「相続登記」を放置するとどんなトラブルに?!
2024年4月施行「相続登記の義務化」を専門弁護士がイチから解説

 

【5/9開催】認知症対策だけじゃない!
数世代先の相続まで見据えた資産管理・承継ができる
「家族信託」活用術

 

【5/9開催】「海外法人のつくり方・つかい方」
日本に居ながら自分の「分身」を海外に作るメリットは何か?

 

【5/11開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説

 

【5/12開催】良い案件を見つける3つの方策とは?
「日本型オペレーティングリース」投資の基礎講座

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録