インバウンド旅行客8割減…再開の動きに期待高まる
フィリピンでは、まもなく海外からの旅行客の受け入れ再開が始まりそうです。2020年のインバウンド客数は148万人で、過去最高を記録した2019年の826万人から82%減少しました。感染症管理に関する省庁間タスクフォースは、グリーンリスト国からの予防接種済みの旅行客の観光ビザでの入国を検討しています。グリーンリストに掲載されている国(含む日本)は、コロナのリスクが低いと考えられています。フィリピンは、2020年3月以降外国人の入国が原則禁止されている一方で、国内移動を徐々に緩和しています。
パンデミック前、観光産業は国の経済の中で大きな役割を果たしていて、2019年にはGDPの12.7%を占めていましたが、昨年は5.4%と20年ぶりの低水準に縮小していました。このインバウンド旅行客受け入れの動きは、カジノ銘柄「ブルームベリー(BLOOM)」、「LCCセブ航空(CEB)」、エアライン関連サービスの「マクロアジア(MAC)」には、大きなフォローウィンドになリます。
コロナ禍、積極的に事業再構築…黒字転換へ
外食ブランドチェーン「MAXS Group Inc.」の第3四半期の連結決算は、コロナの影響を受けながらも黒字転換しました。厳しい移動規制にもかかわらず、フランチャイズ店の運営を継続したことにより、前年同期比28%増となりました。第3四半期には、MAXSの654店舗のうち94%が営業を開始し、内61店舗は北米、中東、アジアなど海外店舗です。
海外事業の回復は、国内より非常に早く、売上高は前年同期比46%増となりました。MAXSの既存店ベースの売上は着実に回復しており、すでに2019年の67%に達しています。特に、ピザチェーンのYellow CabとドーナッツのKrispy Kremeは、業界と比較して回復が早く、現在、ほぼ2019年の水準に達しています。
MAXSの第3四半期の売上原価は、前年同期比11.6%減の12億ペソです。主に人件費が前年同期比36%減少したことによるもので、MAXSは、店舗の合理化や従業員関連費用の削減など、オペレーションの最適化を継続的に進めています。
また、店舗の合理化に加え、賃料の値下げにより、賃貸コストの削減にも成功しています。在庫管理面では、無駄を省き、メニューの合理化を実施し、ブランド間のサプライチェーンの効率化を図りました。これらの取り組みにより、MAXSの売上総利益率は、2020年1~9月期の9.3%から28%に急上昇し、1~9月期のEBITDAは、前年同期のマイナス1億1,400万ペソから12億3,000万ペソに急増しました。
また、MAXSは、純粋なダイニングカンパニーから、製造や流通にも踏み込んだ企業へと変化していて、全国の大手スーパーやコンビニエンスストア200店舗にハンバーガーのバンズなどの製品を提供しています。
さらにコロナ対応で、MAXS店舗の93%がデリバリーを、18店舗がドライブスルーを展開しています。村を巡回してサービスを提供するフードトラックも提供するなど抜本的なサービスの見直し・改善がなされたことにより、足腰の強い企業となっています。
MAXSは現在、21年のPERが19.1倍、22年見込みPERが13.7倍で、ABキャピタルのの目標株価は10.00で、45.6%のアップサイドとなっています。