コロナ禍でも積極的な事業展開…上昇期待が大きい「フィリピン企業」

11月29日週「フィリピン株式」レポート

コロナ禍でも積極的な事業展開…上昇期待が大きい「フィリピン企業」
写真:PIXTA

各国でアフターコロナを見据えた動きが本格化してくるなか、フィリピン株式市場も力強い相場展開になっています。そのような状況下、注目すべきはコロナ禍で積極的な展開を図った企業です。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターである家村均氏が解説します。

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フィリピン中央銀行、政策金利据え置きを決定

フィリピン株式総合指数は、11月24日の終値ベースで、7,419.10といよいよ7,400台に突入し、力強い相場展開になっています。

 

マーケットの予想通り、中央銀行(BSP)は政策金利を据え置きました。今回のBSPの決定は、2ヵ月連続でインフレ率が低下したことを受けたもの。2021年の消費者物価指数の数字は、アフリカ豚熱の発生による食品価格の高騰が原因であったとし、その後、豚肉と鶏肉の価格は、輸入品によって供給が補われたことで安定しました。

 

パンデミックの影響から回復し始めたばかりのフィリピン経済をサポートするためには、BSPの金融緩和姿勢が必要とのスタンスです。9月の失業率は8.9%に上昇し、今年最高の水準となったため可処分所得は依然として低い状態です。

 

BSPは、2021年のインフレ率予測を4.3%に引き下げ、2022年は3.3%、2023年は3.2%の予想を維持しました。2022年のインフレ予測は今年より低いですが、BSPは物価のアップサイドリスクを警戒しています。

 

BSPが挙げているリスクの中には、食品価格を上昇させる可能性のある天候の乱れ、物流コストの高騰、地元の豚肉供給の回復が遅れる可能性などです。BSPは緩和的な金融政策を維持することを表明していますので、株式市場にはポジティブな状況です。BSPの優先事項は明らかに持続的な経済回復を確保することですが、来年半ばには利上げの圧力がかかると見られています。

コロナ禍でフィンテックブームが加速

中央銀行(BSP)は、銀行預金や電子マネー口座が急増しているという報告書を出しました。報告によると、2021年第2四半期フィリピン人の預金口座数は740万件増加しました。これに対し、2019年に開設された預金口座数はわずか400万件でした。また、アクティブな電子マネー口座は、2019年の1,790万口座から2020年には3,470万口座と、前年比93%と急増しています。

 

デジタル決済の割合は、パンデミック前の14%から2020年には20%に増加しました。BSPは、2023年までにフィリピン人の70%が電子取引口座を持ち、決済の50%がこれらの口座を通じて行われるようになると予測しています。

 

このフィンテックブームに乗っているのが、Ayalaグループの通信会社「Globe Telecom」のGCashです。総取引額は前年比で3倍に増加しており、年末には3.5兆ペソに達すると予想されています。

 

多くの新興フィンテック企業がまだ黒字化していない中、GCashは直近4ヵ月連続で黒字を計上しています。この流れに乗ってGlobe Telecoms Inc. (GLO)」は、今年のトップパフォーマーの1社です。同社の株価は、2020年末の終値2,030から77.3%上昇し、11/24の終値で3,600に到達しました。フィンテックの普及はすでに織り込み済みで、PER13.2倍で取引されている同業他社と比較しても、GCashは2021年見込みで、すでに21.3倍です。

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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