不動産を人に貸すと相続税評価額が減る理由

今回は、不動産を人に貸すことで相続税評価額を下げられる理由を見ていきます。※本連載は、相続を中心に個人の資産に関する業務に力を注いでいる株式会社ウーマンタックスの代表取締役、板倉京税理士の著書、『相続はつらいよ』(光文社)の中から一部を抜粋し、「評価を下げて相続税を減らす」タイプの節税対策を紹介します。

不動産は借地権・借家権の分だけ評価額が下がる

不動産は、「評価を下げて減らす」節税に役立つ資産ですが、その不動産を人に貸すとさらに評価を下げることができます。

 

人に貸している不動産は、空き家の状態の不動産に比べて自由に処分することがむずかしいですよね。賃貸物件には、借りている人の権利(借地権・借家権)があるため、その分だけ評価額が下がるのです。建物は3割引き、土地は借地権の割合にもよりますが、おおむね2割くらい評価が下がります。

 

たとえば、第1回目で具体例として挙げたマンション(購入価額5000万円、評価額約1600万円)を賃貸にした場合、マンションの評価額は約1160万円となります。人に貸すことで約440万円評価が下がり、購入価格5000万円に比べると4分の1以下の評価額となるわけです。

 

【図表 5000万円の中古マンションを人に貸したら相続税評価額が約1160万円に!?】

賃貸経営は採算性を見極めてから始める

タワーマンション同様、相続税対策になるということで、アパート建設も好調だと聞きます。相続税をなるべく払いたくない、という気持ちはわかりますし、アパート経営は、相続税の節税には確かに役に立つと思います。仮に5000万円の土地を持っている人が5000万円かけてアパートを建築した場合、約4000万円もの相続財産を減らせることもあるのです(※)。

 

しかし賃貸経営には、相応の資金が必要になりますし、その後の空室リスクや修繕費、借金返済など、様々なリスクが伴うといえます。借金をして建築したアパートが空室だらけで借金が返せず、やむなく相続放棄をしたという話も聞いたことがあります。賃貸経営は事業として採算が合うのかどうかを、しっかりと見極めて行っていただきたいと思います。

 

(※)5000万円の土地に5000万円かけてアパートを建築した場合

●建物の評価額:2100万円=3000万円(固定資産税評価額)×【1-0.3借家権】

●土地の評価額:3950万円=5000万円×【1-0.7借地権×0.3借家権】

 

これらを足すと6050万円。

 

つまり、土地と建物合わせて1億円の財産だったアパートの相続税評価額を、約4000万円減らすことができたというわけです。

あなたにオススメのセミナー

    WTパートナーズ株式会社 代表取締役
    WT税理士法人 代表社員
    税理士 

    成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科卒業後、保険会社勤務を経て、税理士資格取得。朝日税理士法人などで経験を積み、平成17年独立。
    平成21年、女性開業税理士で組織された㈱ウーマン・タックスを設立、代表取締役就任。平成30年、WTパートナーズ株式会社に名称変更。「相続問題など、家庭やお金の問題には女性の視点が役に立つ」との思いから相続を中心に個人の資産に関する業務に力を注いでいる。税理士業務以外に、NHKあさイチなどのテレビ出演や、各種講演・セミナー、執筆活動なども精力的に行っている。一児の母。
    主な著書に『夫に読ませたくない相続の教科書』(文春新書)、『親と一緒に考えるかしこい相続』(日本経済新聞社)がある。

    著者紹介

    連載財産の「評価を下げて減らす」相続税対策

    本連載は、2016年6月20日刊行の書籍『相続はつらいよ』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    相続はつらいよ

    相続はつらいよ

    板倉 京

    光文社

    相続のルール、遺産分割、相続税、節税対策、生前贈与…身近な人が亡くなる前に知っておきたい基本的な対策を敏腕税理士がやさしく伝授。 親族が元気なうちにやっておくべきこととは? 相続問題でよくある落とし穴とは? 知ら…

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    登録していただいた方の中から
    毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
    会員向けセミナーの一覧
    TOPへ