「タワマン節税」行き過ぎた相続税対策で課税当局から“待った” (※写真はイメージです/PIXTA)

近年、行き過ぎた「相続税対策」に課税当局から待ったをかけられるケースが増えています。ここでは「タワマン節税にはご注意を」をテーマとし、辻・本郷税理士法人の山口拓也氏が事例と共に解説していきます。

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タワマン購入が相続税の節税になるワケ

「タワマン節税」という言葉があります。

 

家やマンションについての相続税の申告額は、時価ではなく相続税評価を用いてつけた額となります。相続税評価額は、路線価や固定資産税評価額をもとに算出します。タワーマンションではこの差がとりわけ大きくなるため、節税につながるのです。時価が1億円で評価が3000万円だった場合、時価に比べて7000万円評価が下がることになります。

 

その他の物件と比較しても、マンションは土地の持分が非常に小さくなるため、とりわけ安くなる場合があります。また賃貸物件の場合は、建物の評価、固定資産税評価がさらに3割引きされるため評価が安くなる傾向にあります。

 

そこで財産評価基本通達の総則6項より、通常の評価では問題があるとして時価に対し相続税を修正するよう言われます。

 

(※) 「税務署の伝家の宝刀」と呼ばれ、評価通達で評価することが著しく不適当な際に適用される。

 

その他の財産が1億円、タワマンが3000万円だとして、そこから借入金の1億円、小規模宅地の特例(貸付用)分の1000万円を引くと、課税価格は2000万円にまで下がってしまいます。

 

(※) 土地評価額が50%減額される。

 

元々はある程度財産を持っている方であるのに、相続税の基礎控除3600万円以下になってしまうため、課税当局サイドにとって問題となるのです。

 

また、借入金の扱いについても注意点があります。相続人がAさん1人だった場合は上記の計算で問題ないのですが、相続人が2人いてその他財産5000万円ずつで分割したとすると、Bさんの課税価格は5000万円、Aさんの課税価格は差し引きするとマイナス3000万円ということになります。

 

マイナス3000万円は、Bさんの5000万円からは引けません。あくまでも相続税の課税価格は各相続人の課税価格を合算したものになります。そのため、このマイナス3000万円は一旦ゼロで切り捨てられてしまいます。

 

分割の仕方によっては借入金がすべて引けないケースがありますので、ご注意ください。

辻・本郷 税理士法人 シニアパートナー 税理士

2007年 辻・本郷 税理士法人 入所
2008年 税理士登録
2017年 埼玉・新潟 エリア長に就任
2018年 執行理事(現・シニアパートナー)に就任
主に資産税や事業承継対策、法人顧問の税務に取り組んでいる。大原簿記学校での非常勤講師としての経験を活かし、金融機関にてお客様向けのセミナーや、行員勉強会の講師も務めている。

著者紹介

連載税理士が解説!「正しい納税の知識」

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