テレビ番組の地方ロケで有名な寿司屋の大将は、「まずお前らが食べろ」と番組スタッフに寿司を食べさせたという。「気遣ってくれているのか」と思ったビビる大木氏がその理由を聞くと、大将の返事とは。※本連載は、ビビる大木氏の著書『ビビる大木、渋沢栄一を語る』(プレジデント社、2020年12月刊)より一部を抜粋・再編集したものです。

 芸能界で「中間管理職」をどう楽しむか

人間には皆、その前に「道」がある。
完歩するだけの力もある

道は誰にも行い得られるものである。人にはみな道を行うに足るだけの力がある。
 ただその力と道とに大小の差があるに過ぎぬ。
【『渋沢栄一訓言集』道徳と功利】

 

■​芸歴25年は通過点に過ぎない

 

それぞれの人間には、進むべき「道」があります。道のない人間はありません。ここでは、芸能界という世界の「道」についてお話しします。

 

僕は今年、「お笑い芸人」になって25年という一つの節目の年になりました。(GGO編集部注:2020年に執筆した時点の数字です)

 

25年ですが、そんなに短い時間ではありません。会社勤めで勤続25年と言いますと、「定年まであと13年」と言われるほどの時間です。

 

しかし、僕が生きる芸能界にいると、25 年という時間は短いとは思われませんが、決して長いとも言われません。共演者の方の中に、普通に芸歴50年という方がいらっしゃるからです。

 

最近、バラエティ番組に出演されている高橋英樹さんなどは、その芸歴50年以上の方です。もう話になりません。僕が25年と言いますと、「まだ若いね」という話になってしまいます。

 

「松任谷由実」ことユーミンさんにお会いしたときに、「ユーミン先輩、芸歴はどのぐらいですか?」と聞きますと、「芸歴で言うと45年かな」とおっしゃっていました。本格的にステージ活動を始めたのが1974(昭和49)年。僕の誕生年です。「あ~、僕の人生、ユーミン先輩の手のひらだ」と思うようになりました。

 

幼稚園から小学校、そして中学校、高校、最後は専門学校、それからこの世界に入り、バイトしたとか、仕事が増えてきたとか、レギュラー持てたとか、コンビ解散して一人になった、結婚した、子どもができた、中古だけれどマンション買ったなどの、拙い僕の人生のすべてが、まるまるユーミンさんの芸歴と重なると、僕の人生のBGMはユーミンさんになってしまいます。

 

僕の人生まるまる芸歴。ユーミンさんは普通に生きているわけです。かないません。この世界にいると、芸歴25年は何の自慢にもならない単なる通過点でしかありません。だから、「心はいつも半ズボン」と言っていられるのかなと自虐的になったりします。若くいられるのかもしれません。

 

先輩たちがいっぱいいるので、途方に暮れます。代表的な長寿社会のモデルケースです。

 

ただ、この世界のすごいところは、世代を超えて人間関係が構築できることです。そう考えると、「中間管理職」をどう楽しむかにかかっていると思ったりするのです。

 

 

ビビる大木

 

 

ビビる大木、渋沢栄一を語る

ビビる大木、渋沢栄一を語る

ビビる 大木

プレジデント社

歴史好き芸人・ビビる大木が、 同郷の偉人・渋沢栄一の遺した言葉を紐解く! 「はじめまして、こんばんみ! 大物先輩芸人と大勢の後輩芸人の狭間で揺れる40代『お笑い中間管理職』の僕。芸人としてこれからどうやって生き…

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