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「選挙に行きたくない気持ち」も理解できるが…
選挙の投票は面倒なものです。投票に行きたがらない人が多いのもわかります。年齢別にみると、高齢者より若い人のほうが投票率が低くなっていますが、それもわかります。忙しいでしょうし、選挙以外にもやるべきこと、やりたいことがたくさんあるでしょうから。
独裁政権を倒して民主主義を勝ち取った国では、投票できること自体が嬉しくて、喜んで選挙に行く人が多いと聞きますが、日本ではそういったことはありません。
自分が投票すれば結果が変わるかもしれないと思えば、投票のインセンティブも大いに高まるのでしょうが、そうしたことは(村長選挙等は別として)国政選挙では起きないでしょう。当選者と次点の差が1票であったという過去の例を筆者は知りませんし、確率的にも起こりそうにありませんから。
さらにいえば、与党支持者と野党支持者が同時に棄権すれば、結果は変わりませんから、ますます棄権のインセンティブは高まるわけです。
恥ずかしながら、筆者自身もかつて、与党支持者2名と野党支持者2名で麻雀に興じていたことがありました。2名ずつが棄権すれば結果に影響しないから、という合意が4人で成立したからです。しかし、それでも4人揃って投票に行くべきでした。
「投票は国民の義務だから」などというつもりはありません。しかし、投票で当選者が変わるわけではないけれども、投票すること自体に意味があるからです。
「若者も選挙に行く」ことを、政治家たちに知らしめる
「シルバー民主主義」という言葉があります。政治家が高齢者の喜びそうな政策を優先するので若者のための政策が疎かになりがちだ、ということですね。
政治家の立場で考えてみましょう。高齢者は人数も多く投票率も高いので、高齢者を怒らせるような政策を採用したら、次の選挙で落選してしまうかもしれません。一方で、若者は人数も少なく投票率も低いので、若者を怒らせるような政策を採用しても、次の選挙で落選するリスクは小さいでしょう。
そうなると、政治家としては、高齢者が喜びそうな政策を優先し、若者のためになるような政策は後回しにする、というインセンティブが働くわけです。日本の国の将来のことを考えれば、若者のための政治をしてもらいたいという気もしますが、それは難しいのでしょうね。
「猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙に落ちればただの人だ」という昔の政治家の言葉にあるように、政治家にとって自分の次の選挙が一番大事なのは、仕方のないことですから。
そんな政治家たちに、若者のための政策を採用させるには、彼らにインセンティブを持ってもらうしかありません。それは「最近は若者も投票するようになったから、若者のための政策も採用しないと、選挙で投票してもらえない」と思ってもらうことです。
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