(※画像はイメージです/PIXTA)

2022年4月20日に1ドル=129.43円を記録し、未曽有の円安危機を迎えた日本。日本が経験してきた過去の円安を振り返り、近年の円安による物価上昇の仕組みを、データを交えて解説します。

ロシアのウクライナ侵攻前から、上昇傾向にあった物価

前述のとおり、円安はロシアのウクライナ侵攻を皮切りに加速しています。ですが、物価高騰の大きな要因はこの1つだけなのでしょうか。下記の図1は、総務省統計局が2022年4月に発表した『2020年基準 消費者物価指数 全国 2021年度(令和3年度)平均』です。

 

消費者物価指数(CPI)とは、全国の世帯が購入する、家計に係る財及びサービスの価格等を総合し、物価の変動を測定するものです。すなわち、家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示したものです。

 

 
 

 

上記を見て分かる通り、2020年は緩やかに下降線をたどり、8月以降はほ横ばいに保たれています。2022年は緩やかな上昇からスタートしましたが、3月から4月に急激に反落し、同年の1月よりもさらに低くなっています。ですが、そこを底辺に再度緩やかな上昇を始め、総合指数の動きを示す表1では、12月に、大幅な下落前の3月よりも上昇しています。2022年は前述したとおりの動きが見て取れます。

 

それでは、2021年4月の大幅な反落の要因は何でしょうか? これは、同年3月、政府からの要請により、携帯電話の大手キャリアが一斉に通信料の大幅な引き下げが可能となる新料金プランを導入したためです。

 

しかし、その後の物価上昇は、携帯電話通信料の引き下げという、大きな一手の効果の剥落により元に戻っただけである、という訳ではありません。

 

2021年の夏以降、コロナ対策として実施された金融規制の緩和により、経済活動が回復してきました。それに伴い、世界的に電力需要が増加するなか、液化天然ガス(LNG)や石炭などの発電用燃料が不足し、これらの価格が一斉に高騰したことが原因です。

 

今まさに私たちの生活を直撃している物価上昇。2022年4月20日に1ドル=129.43円を記録し、いまだ天井が見えぬなか、新型ウィルス、軍事侵攻の難儀を乗り越え、誰しもが快い消費活動を出来る日を願ってやみません。

 

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