(※写真はイメージです/PIXTA)

都心を中心に、ここ20年で約2倍に店舗数を増やしたコインランドリー。増加の背景には一体何があるのか。 果たして今後も増え続ける傾向にあるのか。現代を映す「コインランドリー」の現在に迫ります。

大都市を中心に増加の一途を辿るコインランドリー

厚生労働省『コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査』によると、1996年には全国で1万0,228店舗だったコインランドリーは、2013年には1万6,693店舗と1.6倍に。また、コインランドリー情報誌『ランドリービジネスマガジン』によると、2017年には2万店を超えたと推計されています。

 

また、日本のフランチャイズチェーン協会『JFAフランチャイズチェーン統計調査』によると、フランチャイズチェーン店に限った数字にはなりますが、コンビニエンスストアの全国店舗数が2万店を突破したのが1993年の22,857店舗でした。その9年後の2002年の同調査では2倍の4万店を突破し、40,644店舗にまで増え続けています。2022年現在は56,919店舗と記録されています。

 

「コインランドリー」がかつてのコンビニエンスストアのように今後も増加の一途を辿るかどうかは分かりません。ですが、大都市を中心に急速に数を伸ばしているという共通点が見出せます。NTT『アイタウンページ』で都道府県ごとにコインランドリーの店舗数を数えていくと、最も多い「東京都」で820店鋪。次に「大阪府」、「兵庫県」「神奈川県」「福岡県」と続き、大都市を抱える自治体が上位を占めていることが分かります。

 

では、実際に「コインランドリー」は、利用者にとってどのようなニーズがあるのでしょうか。

 

近年の「コインランドリー」はスニーカーや寝具など、一般的な家庭の洗濯機では取り扱えないものを洗濯することができるという進化を遂げています。そのため、通常の衣類は家庭で洗濯し、使用する度に洗うものではないが、衛生的に保ちたいものを洗濯する手段として選ばれているという側面があります。

 

一方で、「コインランドリー」急増の裏には、共働き家庭の存在が非常に大きいと言えます。

共働き世帯の増加が大きな要因に

下記の図表、厚生労働省による『共働き等世帯数の年次推移』を御覧ください。

 

 

 

共働き世帯の数は1980年からコンスタントに増え続けています。共働きでない世帯との数が初めて逆転した、バブル崩壊直後の1992年頃を起点に、見事両世帯の数が反発し合っていることが図表から見て取れます。

 

約40年もの長い期間増え続けたのには様々な要因が絡み合った結果だと言えます。例えば、1986年の男女雇用機会均等法の施行、非正規雇用の増加。また、年金受給問題、家電や外注サービスによる家事の軽減などです。

 

さらに、本表で注目すべきポイントは、2014年頃~2019年までの間に、共働き世帯の上昇率が急激に高まっている点です。2014年の約1,077万世帯が5年後の2019年には約1,245万世帯と、実に約168万もの共働き世帯が増加しています。

 

要因は様々ですが、1986年の男女雇用機会均等法が施行された後に生まれ、女性もフルタイムの仕事をもつことが当たり前の時代に育った世代が20代後半になり、仕事を続けたまま世帯をもつケースが増えたことが一因と言えます。

 

こうした共働き世帯の増加の動きに伴い、その数を増やしてきたコインランドリー。家事負担を少しでも減らしたい共働き世帯の強い味方です。一方で、コスト面ではハードルがあると言えます。

 

例えば、週3回自宅の洗濯機を使用すると仮定した場合にかかる、年間の電気代・水道代の合計と、コインランドリーを週に一度利用した場合の年間利用料には20倍近くの差異が生まれます。今後このコスト面の課題を解決できれば、まだまだ伸びていく余白をはらんでいる市場と言えます。

 

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