「安いニッポン」は日本にとって朗報
ここ一年、「安いニッポン」という現状認識が、経済議論の出発点として共有されるようになった。異常に安くなった日本の物価の現実を丹念に調べ上げた日経新聞企業報道部の中藤玲さんの貢献が大きい。またダイヤモンドでは竹田孝洋編集委員が中心となり、より広範な価格の実態調査を実施している。
他国と差が開く日本のお金事情
21世紀に入って日本の賃金はほとんど上昇しなかった。その結果、平均賃金の水準では、G7でイタリアと最下位を争い、2015年には韓国に抜かれ、差が開く一方だ。
またビックマック価格は最高のスイスの約半分、韓国・ブラジルよりも安くなっている。
中国など世界的な需要増により、ズワイガニの国際価格はこの10年で2.5倍に高騰し、日本人の口には入りにくくなったと報じられる。ダイヤモンド社は物価・賃金のみならず、株価、不動産価格がバーゲン状態となり、外資に買い漁られている実態を報告している。
この「安いニッポン」は日本にとって朗報である。国際的価格競争力が各国経済の肝であるが、「安いニッポン」が国際競争力を高め日本経済の好循環を引き起こすと考えられるからである。