ロシアルーブル上昇の背景と不安の種 (※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナの世界的なパンデミックは歴史的な出来事であり、金融市場に深刻な影響を与えてきました。感染拡大は金融市場の動向や金融政策を左右する要因です。ただ、ロシアルーブルの動きをみると、新型コロナは依然深刻な問題ながら、他の要因の重要性が高まっているように見受けられます。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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ロシア中央銀行:インフレ率上昇懸念を背景に市場予想を上回る利上げ

ロシア中央銀行は2021年10月22日の金融政策決定会合で政策金利を6.75%から7.50%に引き上げました。市場では0.25%から0.50%の利上げが予想されており、市場予想を上回る利上げによってインフレ率上昇への強い姿勢を示したことでルーブルは上昇しました(図表1参照)。

 

日次、期間:2019年10月25日~2021年10月25日 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]ロシアルーブル(対ドル)と原油先物価格の推移 日次、期間:2019年10月25日~2021年10月25日
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

ロシアをはじめ東欧の国々では新型コロナウイルスの感染再拡大に直面しています(図表2参照)。

日次、期間:2020年2月1日~2021年10月25日、7日移動平均 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]東欧の主な国の新型コロナ新規感染者数の推移 日次、期間:2020年2月1日~2021年10月25日、7日移動平均
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

ロシア中銀の声明文では新型コロナによる入国制限で労働者が不足し、その結果物価が押し上げられることに懸念を示しています。

どこに注目すべきか:ルーブル高、原油価格、利上げ、ワクチン

新型コロナの世界的なパンデミックは歴史的な出来事であり、金融市場に深刻な影響を与えてきました。感染拡大は金融市場の動向や金融政策を左右する要因です。ただ、ロシアルーブルの動きをみると、新型コロナは依然深刻な問題ながら、他の要因の重要性が高まっているように見受けられます。

 

ルーブルの動向を振り返ると、原油や天然ガスなどエネルギー価格に強く連動する傾向が見られます。例えば20年春頃や20年後半に原油価格が下落した局面でルーブル安が見られます。反対に足元の原油価格の上昇局面ではルーブル高が進行しています。

 

なお、20年においてルーブル安が見られた2つの局面ではロシア国内のみならず世界中で新型コロナの感染拡大が懸念された局面でもあります。新型コロナの感染拡大は行動の抑制などから石油などの需要縮小が見込まれていました。つまりコロナ禍と原油安が共に起きた局面でした。

 

しかしながら、足元では世界全体を見渡すと、新規感染者数は決して低くはありませんが、やや落ち着きを見せています。またワクチン接種の進展や、今後新型コロナの経口薬の使用も期待されており、景気や原油需要の回復が期待されています。上記の動きは、原油などエネルギー価格の上昇となりルーブル高要因につながります。

 

次に、ロシア中央銀行の引締め政策もルーブル高を支える要因と見られます。ロシア中銀は声明で年末時点のインフレ率を供給制約を背景に7.4~7.9%(9月は前年比で7.4%)になると述べ、さらなる引き締めを示唆しています。また記者会見でナビウリナ中銀総裁は1%の利上げも検討したことを明かすなど引締め姿勢を示しました。

 

原油価格上昇と利上げに支えられ上昇するルーブルですが、新型コロナの感染拡大は不安の種と見ています。ロシアをはじめウクライナなど東欧で感染拡大が続く背景はワクチン接種率の低さが挙げられます。足元でロシアの1回接種率は36%、ウクライナは21%程度に過ぎません。

 

ロシアなどは飲食店の利用にワクチン接種証明を求める等によりワクチン接種の促進を試みています。しかし、欧米の信頼度の高い報道機関が伝えるところによると偽のワクチン接種証明書を取引するブラックマーケットがある模様です。偽ワクチン証明書が接種の進展を妨げていることよりも、市民のワクチンに対する懸念や不信感が強いことへの警告が指摘されています。

 

ワクチン対応は政府の役割で、金融政策は直接には関係しませんが、全く無関係ではありません。さらなる感染拡大は景気を下押しする懸念があり引締め姿勢を続けられるか不安もあります。一方で、インフレ懸念の原因とロシア中銀が声明で指摘していた供給問題は新型コロナで海外から労働者の流入が抑制されていることが背景の1つです。新型コロナの動向が金融政策の運営に不確実性をもたらすことで、ルーブルが不安定となる可能性もゼロではなさそうです。

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ロシアルーブル上昇の背景と不安の種』を参照)。

 

(2021年10月26日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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