厚生年金加入者の場合、将来の年金額は現在の給料から予想することが可能です。しかし、シミュレーションしてみて「想像以上に少ない!」と驚く人も多いのではないでしょうか。老後の生活資金を増やしたいなら、私的年金に加入するなど、気づいた時点で手当てをはじめることが大切です。ファイナンシャル・プランナーで株式会社Money & You代表の頼藤太希氏が解説します。

2年で元が取れる!毎月400円上乗せする「付加年金」

付加年金とは、毎月の国民年金保険料に400円の付加保険料を上乗せするだけで、将来もらえる年金額を増やせる制度です。具体的には「200円×付加保険料を納めた月数」の額が、毎年受け取れる年金額に加算されます。

 

付加保険料を20年間支払った場合、付加保険料の合計は400円×240カ月=9万6000円です。それに対し、増える年金額は200円×240カ月=4万8000円です。この増えた分は年金をもらい続ける限り、毎年受け取れます。つまり、わずか2年で元が取れて、3年目以降からはプラスになるのです。

 

付加年金はとてもお得な制度ですが、注意点もあります。

 

原則として、加入できるのは国民年金の第1号被保険者、任意加入被保険者のみです。会社員・公務員、その配偶者などは加入できません。また、老齢基礎年金の受給権(国民年金を10年以上納付していること)がない人、国民年金基金を利用している人も受給できません。とはいえ、お得であることには変わりませんので、要件を満たすならぜひ加入を検討してみてはいかがでしょうか。

年金を「繰り下げ受給」すれば、最大42%増やせる

年金受給の開始年齢は原則65歳からですが、60歳から70歳まで(2022年4月より75歳まで)の間なら、自分で受け取り開始のタイミングを選べます。年金の受給開始を早めることを「繰り上げ受給」、遅らせることを「繰り下げ受給」といいます。

 

年金の受給開始を1ヵ月遅らせるごとに、受け取れる年金額が0.7%ずつ増加していきます。70歳時点で受け取れる金額は、最大42%(2022年4月より、75歳まで繰り下げた場合84%)も増やすことができるのです。逆に、年金の受給開始を1ヵ月早めるごとに、受け取れる金額は0.5%ずつ減少していきます。60歳から受け取ってしまうと、最大30%も減る計算です。

 

いったん年金受給を開始すれば、年金額は生涯変更できなくなります。どの時点で年金を受け取り始めるのがトクになるかは、その人の寿命によって変わります。

 

たとえば、65歳で年金受給を開始した場合、77歳時点で60歳から受給した人の受給総額を上回ります。平均寿命の推移を考えると、老後を豊かにするために、もらえる年金が少しでも増える「繰り下げ受給」を選ぶことをお勧めします。

自分で老後資金をつくる「iDeCo」とは?

上述したように、自分でお得に老後資金を増やせる制度として「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」があります。

 

iDeCoは、毎月一定の掛金を自分で支払って自分で運用し、資産を増やしていきます。そのようにして、積み立てたり増やしたりしたお金を60歳以降に受け取ります。運用でお金を増やすことができれば、そのぶん老後資金をたくさん受け取ることができるのです。

 

iDeCoは毎月掛金5000円からスタートでき、掛け金は1000円単位で変更可能です。

 

原則として、20歳から60歳未満の方(2022年5月より65歳未満)なら誰でも加入できますが、掛金の上限額は働き方や会社の制度によって異なります。

 

iDeCoのメリットは、なんといっても圧倒的な節税効果です。まず、掛金はすべて所得控除の対象になるため、所得税や住民税を減らせます。たとえば、所得税率が5%の人が毎月2万円、年24万円の掛金を出した場合、所得税は掛金の5%にあたる1万2000円、住民税は10%にあたる2万4000円を差し引けるので、合計3万6000円の節税効果が得られるのです。さらには利益(運用益)が非課税で、年金を受け取るときにも税金の優遇が受けられます。

 

頼藤 太希

株式会社 Money & You 代表

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
TOPへ