(※画像はイメージです/PIXTA)

年間20万組(令和元年調査)、2秒に1組もの夫婦が離婚している日本において、増加傾向にある国際離婚。本記事では、家事裁判を得意としている水谷江利氏が、国際離婚で押さえておくべきポイントについて解説していきます。

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国際離婚で押さえておくべき「3つのポイント」

国際離婚は、次の3つの点をきちんと押さえる必要があります。

 

①日本で離婚手続(離婚裁判)ができるかどうか=裁判管轄が日本にあるか
②日本の法律が適用になるか
③日本での離婚の効果が外国にも及ぶのか

 

最近では海外勤務や留学などで海外を拠点に活動する日本人も増えていますので、その場合、日本人同士の結婚でも相手が海外にいる場合には、同様の問題が生じることがあります。

配偶者が日本にいる場合は、日本で離婚手続きができる

まず最初に考えなければならないのは、日本で離婚の裁判手続ができるかどうか。原則、日本人であろうと、外国人であろうと、相手の住所が日本にあれば日本で離婚裁判ができます。

 

平成31年4月から新たな法律が施行され(法務省HP:人事訴訟法・家事事件手続法)、日本の裁判所が管轄を持つ場合が拡大、夫妻の双方が日本国籍を有する場合は、相手が外国にいても、日本の裁判所に管轄があることが明文化されました(人事訴訟法(人訴法)第3条の2第5号)。

 

これは、双方が日本国籍を有する場合、日本語で手続きを行える日本の裁判所で訴訟を行うことが、双方の便宜であるからです。

 

また、配偶者が外国籍であっても、日本でともに暮らしていたあとで単身赴任した、すなわち、夫妻の最後の共通の住所が日本であったのであれば、日本で離婚訴訟をすることが可能です(人訴法第3条の2第6号)。

 

そのほか、「日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は、適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき(人訴法第3条の2第7号)」という規定の「特別の事情」がある場合には、日本が裁判管轄を持ちます。

自分 or 相手の居住地次第で手続きが複雑化することも

日本の法律が適用されるのは以下の2つです。

 

①夫婦のどちらかが日本人
②夫婦のどちらかが日本人ではないが共通の住居地が日本である場合

 

相手(もしくは自分)の現在の居住地が外国であった場合、協議離婚を認めているか、調停離婚でもいいのか、裁判離婚が必要なのかによって、取るべき手続きは異なります。

 

日本以外で離婚が成立すれば、その国の日本大使館などで日本の離婚手続を。日本で外国人の離婚が成立すれば、日本のその国の大使館で離婚を届け出る必要があります。

 

「離婚を成立させる」ことと、「届け出る」ことが異なるのが国際離婚の難しいところ。わからなくなったら、まずはぜひ一度、法律家にご相談ください。日本でも、国際離婚の相談をできるところは、少しずつ増えてきています。

 

 

水谷江利

世田谷用賀法律事務所弁護士

 

 

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本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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