(※画像はイメージです/PIXTA)

民間信用調査機関、帝国データバンクの調べによると、2020年度の自転車販売市場(事業者売上高ベース)は2100億円を超え、過去最高を更新しました。新型コロナウイルス禍が拡大、長期化する中で感染リスクの低いパーソナルな移動手段として見直されたことが増収を後押ししたと同調査は見ています。なかでも医療従事者に愛好家の多いロードバイクは販売台数を大幅に増やしています。医療従事者のうちでも、循環器系の関係者が好むのはなぜか。愛好家を訪ねました。

【ケース2】力量や判断が結果につながる

心疾患専門病院に勤務する40代半ばの看護師長B氏の休日は近隣の一級河川沿いに整備されたサイクリングコースを疾走することで費やされます。自らに課している距離は100キロ前後に及びます。

 

B氏がロードバイクに魅せられたのは知人に誘われた初レースで「体力のなさをいやというほど思い知らされた」ためでした。負けん気の強いB氏は基礎体力をつけ、精神力を養うことを目的に、厳しいトレーニングを続けています。

 

力試しで参加した耐久戦では40チーム中6位を獲得。規定時間を3~4人で乗り継ぐチームプレーがもたらした入賞でした。「一人ひとりの力量や判断が最終結果につながる点で、医療現場と同じだと思います」とB氏。

 

アフターコロナに向けた計画として、ハワイで開かれる国際大会での上位入賞に狙いを定めているそうです。もちろん、25キロに及ぶ通勤は原則的にロードバイクで。それが図らずも、毎日のトレーニングとして生かされています。

専門家の立場で健康維持を託す

取材を通じて関わったことのあるA氏とB氏の2例だけを紹介して循環器系の医療従事者にロードバイク愛好家が多いと結論付けるのは無謀かもしれません。業種別、職種別の統計資料がないため「印象」の域を出ないのも事実です。

 

しかし、通勤に使ったり、院内でロードバイク談議に花を咲かせたりしている医療従事者を目の当たりにすることはあります。今回は取り上げていないものの、取材時の雑談から愛好家であることが知れた医療従事者も数多くいます。

 

学生時代に運動部で鳴らしたという医療従事者は少なくありません。自室に往時の賞状やトロフィー、記念写真などが飾られていることもしばしばです。しかし、年を重ね、キャリアを積むにつれ、かつてのようにキレのよい動きができなくなることは否めません。

 

日ごろの運動不足に悩んでいたA氏、体力の衰えを突き付けられたB氏。それぞれに心臓リハビリの有用性を知る二人が循環器に携わる専門家の立場からロードバイクに自らの健康維持を託したのは決して偶然とは言えないでしょう。
 

 

 

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