(※画像はイメージです/PIXTA)

医師が独立開業する際、しばしばコンサルタントから勧められるのが「医療モール」への開院です。多彩な診療科が集まれば経営も固いと判断する医師は少なくありませんが、油断は禁物です。考慮しなければならないのは、他クリニックのモールへの開業状況、集患のしやすさ、そして薬局や他クリニックとの関係構築です。クリニックを経営する医師であり、経営戦略ビジネスも展開する蓮池林太郎氏が解説します。

薬局と、他のクリニックと…モール内でのトラブル事例

医療モール内のクリニックと調剤薬局の関係が悪化して、クリニックが退去せざるを得なくなってしまった事例もあります。

 

クリニックの院長と調剤薬局の管理薬剤師との関係が悪化し、調剤薬局から、そのクリニックの患者を後回しにして30分以上待たせるという嫌がらせを受けるようになりました。

 

患者は調剤薬局で待たされるため、そのクリニックから足が遠のき、クリニックの患者数が減少して退去に追い込まれました。

 

また、クリニック同士がトラブルになるケースもあります。たとえば、風邪症状の患者さんをどのクリニックで診察するのか、揉めることもあるようです。患者が大人なら内科と耳鼻咽喉科で、子どもなら小児科と耳鼻咽喉科で、患者の奪い合いになってしまうことがあります。

 

一度開業したクリニックの移転は簡単ではありません。トラブルはなくても、同じビル内のクリニック同士、なにかと気を使うこともありますし、表面上仲よくやっているように見えても、本音ではお互いをよく思っておらず、ストレスを抱えるというのもよくあるケースです。

 

このような点も踏まえ、医療モールへの開院は一定のリスクがあると覚悟しておいたほうがいいでしょう。

医療モールだからと油断せず、立地を含め慎重な検討を

医療モールであってもなくても、クリニックの開業は立地が非常に大切です。ビルの空中階なら、近くの1階にあるクリニックと比較したとき、通りがかりによる来院が少なくなるのは当然です。

 

本稿では医療モールの失敗事例ばかりをお伝えしましたが、当然、好立地で繁盛している医療モールも多くあります。既存の競合クリニックや将来的に医療モールができる確率も含め、慎重な吟味が必要になります。

 

 

蓮池 林太郎
新宿駅前クリニック 院長

 

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