(※画像はイメージです/PIXTA)

インターネットが生活インフラとなったいま、クリニックの経営戦略にもネット対策は欠かせません。より多くの患者に見つけてもらい、選ばれるウェブサイト制作は重要です。腕に自信がある医師であっても、患者に存在を知られなければ、それは大変もったいないことです。自身もクリニックを経営する医師でありながら、経営戦略ビジネスも展開する蓮池林太郎氏が解説します。

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集患できず、閉院に追い込まれた美容皮膚科の例

数年話、筆者の知人がターミナル駅近くの空中階に美容皮膚科を開業しました。

 

駅から近く立地もよかったのですが、知人にはまったくネットの知識がなく、とりあえずウェブサイトは開設したものの、ネット検索されても上位表示させることもできず、インターネット広告も打ちませんでした。そのため、せっかく開院してもなかなか患者さんが集まりませんでした。

 

医療にあまり詳しくないウェブサイト制作会社へネット集患を任せてしまい、成果が出ませんでした。また、手持ちの資金もあまりなかったことから、美容皮膚科分野に強いほかの会社に変更することもできず、あきらめて閉院してしまいました。

 

医師本人は、なぜうまくいかなったのかがわからないまま、閉院してしまったのかもしれません。

 

美容皮膚科は保険診療とは異なり、広告費を多くかける必要があります。ウェブサイトも洗練されたデザインで、肌の悩み・トラブルについての解説記事もイラストや写真など含め、より伝わりやすくする必要があります。いまでは、Instagram等のSNSも活用されています。

 

クリニックの立地はターミナル駅でしたが、当時そこまで美容皮膚科は多くなく、激戦区ではありませんでした。しかし、いくら立地がよく、需要が供給を上回っている環境でも、美容皮膚科はネット勝負の科目であるため、ネット力がないとなかなか上手くいかないのです。

 

しかし、いくらネット力が重要だといえ、単にホームページやインターネット広告に詳しいだけの会社に任せても、上手くいくとは限りません。よく吟味せずに依頼しては、会社の良しあしも判断できず、バクチ的な要素が大きくなってしまいます。

 

医療の領域は特殊であり、ほかの店舗系サービス業とは異なるため、ウェブサイト制作の会社であっても詳しいとは限りません。とくに、自由診療もある美容皮膚科の領域は、医療広告ガイドラインや薬機法を遵守する必要があります。属人的な要素もあり、美容皮膚科での実績のある担当者が望ましいでしょう。

 

ネットの集患の知識がないばかりに業者へ任せきりにし、結構な費用を払っても思うように患者数が伸びない、ということもあります。そのような状態に陥り、依頼先の会社に疑心暗鬼となる院長もいます。

 

そうならないためにも、院長自らウェブサイトの制作会社を見極める最低限の知識が必要になります。

 

先ほどの事例の知人の院長は、閉院する前に私に相談してくれれば、対策を行うことができたかもしれません。技術力もコミュニケーション力もあり、患者さんさえ来院すれば流行るクリニックになったはずで、大変残念なことです。

 

医者としての腕とネット集患するテクニックは、相関関係があるわけではありません。逆に、腕に自信があるからこそ「集患をあまり考えなくても、患者さんが来院するだろう」という慢心が起こり、それが悪く作用する可能性もあります。

都心部の高層ビル内、複数科目を標榜するも「大苦戦」

また別の知人は、都心部オフィス街の激戦区で、複数科目を標榜して開業しました。

 

競合に単科の専門クリニックが多く、Googleの検索エンジンで「地域名+科目名」で検索すると、地域名と科目名がクリニック名に含まれる、単科のクリニックばかりが上位表示される状況で、自身のクリニックは上位表示されません。そのため、なかなか患者さんが来院されませんでした。ちなみに、クリニック名に地域名や科目名は含まれていませんでした。

 

Googleは、複数科目を標榜しているクリニックより、単科のクリニックを上位表示させる傾向があります。患者さんの検索ニーズを満たしやすいということもあるのでしょう。

 

高層ビル内のため、通りがかりでの来院はほぼゼロ。近隣に似たような高層ビルが多い地域ということもあり、ネット経由で訪れる患者さんですら迷うような不利な場所でした。

 

現在は、医療に詳しいウェブサイト制作会社や広告会社に依頼し、上位表示されるようになり、患者さんも増えて経営は安定しているようです。

 

患者さんがクリニックの存在を知るのは、通りがかりかネットくらいしかありません。

 

これからの開業において、ネット集患に興味のない医師は、ネット経由で来院がある地域より、通りがかりで来院がある地域に開業したほうがいいのかもしれません。

 

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