相続財産の売却時に、所得税を節税できる!「譲渡所得の取得費加算の特例」【弁護士が解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

相続した財産を売却した場合、譲渡所得の取得費加算の特例の適用を受けると、相続税をその財産の取得費に加算でき、所得税を節税することができます。この特例の適用を受けるには、相続後3年10ヵ月以内に財産を売却し、確定申告をする必要があります。取得費に加算できるのは、納付した相続税全額ではなく、売却した財産にかかった相続税に限られます。小島国際法律事務所の工藤敦子弁護士が解説します。

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売却した相続財産の相続税を「取得費」に含められる

相続又は遺贈により取得した土地や建物、株式などの財産を、一定期間内に売却した場合、その財産の相続にかかった相続税を、その財産の取得費に加算することができます。これを、「譲渡所得の取得費加算の特例」といいます。

 

この特例は、譲渡所得の特例ですので、相続した財産であっても、事業所得や雑所得とすべき譲渡には適用できません。

 

不動産や株式などを売却して利益が出た場合、その利益(譲渡所得)に所得税や住民税などの税金がかかります。譲渡所得は、売却金額から取得費と売却費用を差し引いて計算します。取得費には、購入代金や建物の建築費、購入時の印紙税や登録免許税、仲介手数料などが含まれます。また、売却費用には、建物の解体費や印紙税、仲介手数料などが含まれます。

 

譲渡所得の取得費加算の特例の適用が受けられる場合、売却した相続財産にかかった相続税をその取得費に含められるため、所得税の節税になります。

「譲渡所得の取得費加算の特例」の適用要件とは?

この特例の適用を受けるための要件

譲渡所得の取得費加算の特例の適用を受けるためには、

 

(1)相続又は遺贈により財産を取得したこと

(2)その財産を取得した相続人に相続税が課税されたこと

(3)その財産を、相続税申告期限の翌日から3年以内に売却したこと

 

が、要件になります。相続税申告期限は、相続開始の10か月後です。通常は、被相続人の死亡日が相続開始日となります。つまり、被相続人が死亡してから、3年10か月以内に財産を売却する必要があります。

 

ほかの特例との併用

譲渡所得の取得費加算の特例は、相続した被相続人が居住していた空き家を売却したときの特例(一定の場合に譲渡所得の金額から最高3000万円を控除することができる制度)と併用することはできません。両方の適用要件に当てはまる場合には、いずれか有利な方を選択するとよいでしょう。

 

他方、自己居住財産を譲渡した場合の3000万円特別控除の特例や自己居住財産の買換等に係る特例との併用はできます。ただし、自己居住財産を譲渡した場合の3000万円特別控除の特例と自己居住財産の買換等に係る特例の両方を適用することはできないので、いずれかを選択することになります。

 

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小島国際法律事務所 カウンセル弁護士

1986年大学卒業後、映像・イベント制作会社、都市計画研究所等勤務を経て、2003年弁護士登録。2014年~2016年英国スウォンジー大学留学(法学修士課程卒)、ロンドン及びタイ王国バンコクの法律事務所にて研修勤務。

国際・国内企業法務全般、知的財産権法関連案件(特許、商標、不正競争防止法)、紛争解決(システム開発関連、企業不祥事、労働案件、船舶融資等)、国際・国内相続案件を得意とする。

東京簡易裁判所民事調停委員、NPOのための弁護士ネットワーク理事、NPO法人日本ファンドレイジング協会監事、東京中小企業家同友会所属。

著者紹介

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