(※画像はイメージです/PIXTA)

基本的に美容クリニックは、患者の要望に応える形で、土日も営業しているところが多い。また一般的な病院よりは朝はゆっくり目だが、その分終わりが遅いという特徴もある。そんな美容クリニックで院長として働きながら、2歳の双子と思春期の娘の子育てをする長谷川佳子氏。限られた時間の中で、どのようにふたつの役割のバランスをとっているのか。自身のキャリア、ポリシーを通して語ってもらった。

子育てとも保険診療とも違う「美容クリニック」

もちろん、子育てと、医療を扱う美容クリニックとでは業務上の意識は全く別物です。さらには、一般の自費診療クリニックとも違います。自費診療でいらっしゃる患者様はやはりお客様です。自身を磨くため自身でお金を払っていらっしゃるので、クリニックのホスピタリティや、診察の質、治療効果などに対する期待値が上がります。

 

なので、たとえ医療従事者であっても、患者様が気持ちよく過ごせるような接客、コミュニケーション能力が必要とされます。その点を理解してもらうこともスタッフ教育の大切な部分かと思います。

保険診療と自費診療にも共通点はある

しかし、診察の上で、治療として施術を行うという考え方は、保険診療であっても、自費診療でも同じだと思っています。時には患者様の要望とは異なる結果になることはありますが、必要なものを過不足なく勧めています。

 

そもそも私が一般形成外科から美容皮膚科への転身を決めたのは、研修医時代の経験が理由です。その時、先天性の疾患で若くして乳房摘出が必要になった患者様を20年越しに再建し、理想の胸にしてあげる過程を、保険診療から自費診療の範囲まで見ることができました。その中で保険診療の限界や自費診療の難しさを学びました。

 

結果として、医師としては患者様に喜んでいただければ、どのような治療法でも正解だという考え方に到達しました。

キャリア中断という選択

そのように明確なポリシーを持つ中、共働きで子育てをしていくためには、覚悟を持って、夫婦の役割分担を確立していかなければなりません。とはいえ、役割分担を平等にしているつもりでも、女性の方に負担が増えているということは多々あります。そしてそのためにキャリアを中断する必要もでてくるかもしれません。

 

私自身も、長女の妊娠出産、流産、双子の妊娠出産と、途中離脱することが何度かありました。それでも仕事を続けていくという選択をしています。

 

一旦仕事を離れて子育てに専念する、という選択をしている女性も多いと思います。でもその中にも、上記のスタッフ教育のように、仕事で活かせる部分は存在します。継続したいという思いがあれば、キャリアの中断はマイナスばかりではないと、私自身も感じています。

 

今後の展望としては、今は美容医療をより身近なものにして、かかりつけ医としても耐え得るようなクリニックの展開や、オンライン診療との融合ができる方法を模索しようと思っています。

 

コロナ禍で美容の分野でもオンライン診療が増えてきています。今後はネットと実際の治療の融合がもう少し身近にできるような取り組みを、クリニックを通してやっていけたらと思っています。

 

そして個人としては、子どもたちの自慢のママでいられるように、自身の美容と健康維持、趣味の時間を増やすことを目標にしています。
 

 

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