※画像はイメージです/PIXTA

米国で30年以上研究者として活躍し、現在はスタンフォード大学医学部で教鞭をとる筆者が、仕事を極限まで効率化して最大の成果を得る、具体的なビジネススキルを公開! 今回は、アメリカの大学の研究室のシビアな「成果主義」ぶりを、日本の大学と対比させつつ解説します。※本連載は、スタンフォード大学教授、医学博士の西野精治氏の著書『スタンフォード式 お金と人材が集まる仕事術』(文藝春秋)より一部を抜粋・再編集したものです。

「何をご理解しろというんや?」と心で呟き…

日本でも「フィジビリティ」がビジネス用語として使われつつあると聞きますし、「重要なプロジェクトは、必ず立ち上げる前にフィジビリティ・スタディ(実現可能性調査)を行う」という企業もあるでしょう。しかし、「まだまだ少数派なんだな」と私が思ったのは、日本のある研究所の人たちにお目にかかり、そこのウェブサイトが話題になった時のことでした。

 

「とても面白い研究をなさっているんですね。このテーマでしたら、うちの睡眠ラボと共同研究ができるかもしれません」

 

私がそう申し上げたところ、相手は困った顔で微笑みました。

 

「いやあ、西野先生。これは研究費の申請のとき、応募要項やクライテリア(審査基準)に合わせてとりあえず書いた〈ポンチ絵〉で、まだ具体化はしていないのです。どうかご理解ください」

 

私は唖然(あぜん)とし、「何をご理解しろというんや? それなら今回の訪問の目的は何や?」と心で呟きました。とりあえずのテーマでは、現実性を欠く仕事ぶりになるのも当然です。

 

アメリカではフィジビリティを重視します。いくらいい企画でも実現性に乏しければ、検討するに値しないとみなされます。また、「素晴らしい研究に熱心に取り組んだけれど、結局、何も発見できませんでした」、さらに、提案した実験そのものが、「色々な障害でできませんでした」というのは決して許されません。研究はそこで中断されてしまいます。臨床研究では、被験者の数が予定よりも大幅に少なかった場合には、その不足分に相当する研究費の返還が求められます。

 

逆に言うと、フィジビリティありきでスタートしていれば、やるべきことも具体化されているので、効率的に研究を進められます。成果が出なければ次のチャンスがないので、必死で成果を出そうとします。これは研究の場でもそうですし、シリコンバレーのビジネスシーンではことに顕著です。こうしておのずと成果主義になっていくのでしょう。

 

 

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