(※写真はイメージです/PIXTA)

いま中小企業の後継者不足は深刻化しています。「社長の年齢が60代の中小企業のうち、約半数は後継者が決まっていない」(『中小企業白書』2020年版)といいます。事業を引き継ぐ人がいないということは、事業が安定していても廃業になる会社も存在するということです。後継者はどのように育成していけばいいのでしょうか。

M&Aにはメリットもデメリットもある

■「最短最楽の事業承継」かもしれませんが……

 

帝国データバンクの集計によると、 2020年12月末時点での会社社長の平均年齢は、60.1歳に達したそうです。60歳を超えたのは1990年の調査開始以来、初めてのことです。

 

社内トップ陣の高齢化が進み、若返りを狙った事業承継もうまく事が運ばず、老化を原因とした廃業へまっしぐらな会社が、日本国内でそこかしこに存在しているのです。

 

そんな背景もあって、最近は事業承継の一つのスタイルとして企業買収、M&Aが活性化しています。

 

M&A仲介業者が会社を客観的に評価し、条件に見合った買い手を探し、マッチングしてくれるのがM&Aの主たる流れです。 売り手である社長は仲介業者と買い手との三者間で協議し、交渉成立となれば晴れて会社を売却することとなります。

 

M&Aにはさまざまなメリットとデメリットが考えられます。

 

まずメリットですが、社長にまとまったお金が入るのが第一の利点です。さらに会社を解散させずに事業の移行ができるので、雇用を維持できます。また、規模の大きな会社に買ってもらうことで、いわゆるシナジー効果が狙え、事業の発展が期待できます。

 

廃業にともなう煩雑な処理手続きも回避できるので、M&Aは非常に理にかなった、最短で最楽な事業承継といえます。

 

しかし、一方で、M&Aにはデメリットも考えられます。その最たるものは「残された社員が不幸になってしまうかもしれない」という懸念です。

 

■「売れればなんでもいい」という仲介業者もいる

 

M&A仲介業者は、M&A成立時に手数料を取ることで利益を得るのが一般的です。なかには「とにかく売って、手数料を稼いで、あとは知りません」という悪しきスタイルの業者もあり、これがM&Aで発生するトラブルとして問題視されています。

 

私が見聞きしたケースを紹介しますと、あるA社の社長は自社の売却を決め、M&A仲介業者に相談しました。条件に合った買い手のB社が見つかり、売買は成立、「元社長」にはまとまったお金が入り、M&A仲介業者は手数料を受け取り、A社はB社の子会社となりました。

 

次ページM&A後の問題は残された社員たち

※本連載は藤間秋男氏の著書『社長引退勧告 1年以内に次期後継者を決めなさい』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、再編集したものです。

社長引退勧告 1年以内に次期後継者を決めなさい

社長引退勧告 1年以内に次期後継者を決めなさい

藤間 秋男

幻冬舎メディアコンサルティング

「社長の年齢が60代の中小企業のうち、約半数は後継者が決まっていない」――中小企業庁が発行している「中小企業白書(2020年版)」のデータです。 事業を引き継ぐ人がいないということは、たとえ経営が安定していても、廃業も…

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