2022年中の利上げは悪材料か? (※画像はイメージです/PIXTA)

9月21、22日のFOMCで、FRBは11月の次回委員会におけるテーパリング開始決定を強く滲ませた。また、参加メンバーが示した政策金利の見通しは、2022年中に利上げが行われる可能性を示唆している。これは、米国経済が新型コロナ禍から立ち直り、金融政策が正常化する過程として好感できるだろう。リスクはワクチン接種の失速による新型コロナの感染再拡大ではないか。

指摘率トップ、「名義預金」を税務署はどうみているか?
『相続税の税務調査の実態と対処方法』>>11/17(水)開催

FRBによる出口戦略の示唆:米国経済の先行きに市場の安心感を醸成

米国の名目GDPに対するFRBの資産規模は、リーマンショック前まで6%台前半で極めて安定していた(図表1)。それが、大型の金融危機、そして新型コロナによる経済失速を受け、足下は過去最高の36.7%へと拡大している。量的緩和によるマネタリーベースの供給が背景であることは言うまでもない。

 

期間:2000年~2021年9月 出所:FRB、米国商務省のデータよりピクテ投信投資顧問が作成
[図表1]FRBの資産規模他名目GDP比率 期間:2000年~2021年9月
出所:FRB、米国商務省のデータよりピクテ投信投資顧問が作成

 

FOMC後の会見で、ジェローム・パウエル議長は、テーパリング終了が来年央になる可能性を示唆した。つまり、それまではFRBによる通貨供残高は拡大を続けるわけだ。既に経済規模に比して十分なマネーが市場内にあることを考えれば、テーパリングが米国経済に悪影響を与えることはないだろう。

 

また、今回のFOMCでは、参加者18人の経済見通しが示された。市場の関心が高い政策金利に関する観測を見ると、2022年中の利上げを見込むメンバーが、前回6月の7人から全体の半数に当たる9人になったことが注目される。今後の景気動向によっては、来年後半にも最初の利上げが行われる可能性が強まっているのではないか。

 

中国における恒大集団の債務問題が市場の不安感を増幅させるなか、FRBは、米国経済の先行きに楽観的な見方を示したと言える。それは、マーケットに一定の安心感を与えつつあるようだ。

最大のリスク要因:ワクチン接種の失速だが…

FOMCメンバーの経済見通しは、あくまで現時点での個々の予測であって、将来の政策決定を縛るものではない。つまり、景気や市場が変調を来せば、FRBは現時点での見通しに囚われず、柔軟に対応するだろう。

 

米国経済のリスクは、新型コロナ向けのワクチン接種が伸び悩んでいることではないか。統計的に見れば、ワクチン接種率と感染・重症化の間には強い逆相関の関係がある。つまり、接種が進まない場合、感染の再拡大が経済活動再開にとって足枷になる可能性は否定できない。FRBもこのリスクを注視しているだろうが、市場にとっては、2022年の相場を大きく左右する要因と言っても過言ではないだろう。

 

もっとも、ここまでのところ、米国経済は予想以上に力強い復元力を見せてきた。既に実質経済成長率は長期トレンドの年率1.9%程度まで戻っており、求人と求職者のミスマッチに直面しつつある雇用についても、改善の方向は変わっていない。

 

物価目標に拘る日銀は、金融政策の正常化ができなかった。一方、FRBが出口戦略を採るとすれば、それは将来への備えとしても合理的と言える。少なくとも悪材料ではないだろう。

 

出所:FRBの資料よりピクテ投信投資顧問が作成
[図表2]FOMCメンバーによる政策金利の予測 出所:FRBの資料よりピクテ投信投資顧問が作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年中の利上げは悪材料か?』を参照)。

 

(2021年9月24日)

 

市川 眞一

ピクテ投信投資顧問株式会社 シニアフェロー

 

指摘率トップ、「名義預金」を税務署はどうみているか?
『相続税の税務調査の実態と対処方法』>>11/17(水)開催

 

\PR/ 年間延べ2000人以上が視聴!
カメハメハ倶楽部
「資産運用」セミナー

 

【カメハメハ倶楽部のイベント・セミナー】

※<特設ページ>富裕層のためのヘッジファンド活用

 

【10/21開催】日本で買える「劣後債」投資の実情と具体的な取り組み方

 

【10/21開催】徹底比較!「東南アジア」5ヶ国6都市不動産投資環境

 

【10/21開催】短期償却&長期安定収益狙いの「新規事業投資」徹底比較

 

【10/27開催】コロナ禍におけるM&Aの最新事情と案件説明会

 

【10/27開催】2022年の日本株式市場は?マーケットの見通しを解説!

 

【11/4開催】富裕層のための「交通トラブル」対応ポイント~弁護士が解説!

 

【11/4開催】地主の方必見! 相続税の「払い過ぎ」を回避する不動産の評価術

 

【11/10開催】企業オーナー向け「オペレーティングリース」投資の基礎講座

 

【11/10開催】異色の運用会社による、絶対収益を追求するヘッジファンド戦略とは?

ピクテ投信投資顧問株式会社 シニア・フェロー

日系証券の系列投信会社でファンドマネージャーなどを経て、1994年以降、フランス系、スイス系2つの証券にてストラテジスト。この間、内閣官房構造改革特区評価委員、規制・制度改革推進委員会委員、行政刷新会議事業仕分け評価者など公職を多数歴任。
著書に『政策論争のデタラメ』、『中国のジレンマ 日米のリスク』(いずれも新潮社)、『あなたはアベノミクスで幸せになれるか?』(日本経済新聞出版社)など。
2011年6月よりテレビ東京『ワールドビジネスサテライト(WBS)』レギュラー・コメンテーター。

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

著者紹介

連載PICTETマーケットレポート・Deep Insight

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧