ライブやイベント…「球団の映像技術」の使い道は様々
実際、メジャーリーグ中継では、現地の中継映像を見ながら、国内で日本語の実況と解説をつけて、放映するケースがもっぱらだ。
このパターンなら、応用はいくらでも利く。だからこそメジャーでは、自分たちのテレビ局すら開設している球団もある。
ソフトバンクも、本拠地・福岡PayPayドーム横に建てたエンタメビル「BOSS E・ZO FUKUOKA」の中にスタジオを設置している。試合中継の後にそのまま、そのスタジオからホークスに特化した番組も放送している。
「スタジオを作れば、CMも作れますし、テレビ局1個、あるようなものなので」
髙木の説明には、うなずかされるばかりだ。その“活用形”もいくらでも生み出せる。
「メットライフドームですと年に数十回、コンサートなどのイベントがあったりします。これからの時代、映像配信というのは当たり前になってくると思うんですね。そういうときに、球団で請け負うことができるようになるかもしれないですね」
スタジアムからの中継のノウハウは、十分にある。大勢のスタッフが来場しなくても、西武球団が中継を引き受けることができる。
西武は2021年(令和3年)のシーズン開幕に合わせ、3年をかけ、本拠地のあるメットライフドームエリアの大規模改修に乗り出していた。
「Lビジョン」と呼ばれるセンター奥の大型ビジョンも、これまでの2倍に面積が広げられた。高さ13メートル、面積は約600平方メートル。バックネット裏にも幅10.2メートル、高さ5.6メートル、面積約57平方メートルのサブビジョンも設置される。
迫力を増す映像や音響での演出は、場内各所に設置される「デジタルサイネージ」とも連動している。
例えば、西武の選手が本塁打を放てば、球場内のどこで何をしていても、ホームランを打ったときの映像演出が流れるため、その興奮を逃すことはないというわけだ。
こうした映像関連のハード面を充実させていくことは「スタジアム・ビジネス」をさらに展開していくためには、不可欠の要素でもある。
ドームを活用したアーティストのライブや企業のイベントで、大きなビジョンやクリアな音響装置は、むしろ野球のときよりも重要視されるのだ。球団だから、ドームでは「野球」と限定しなくてもいいのだ。